2011年5月12日木曜日

介護と"看護"の視点からの「ケアの連携」に関する考察

[タイトル]
介護と"看護"の視点からの「ケアの連携」に関する考察

[著者]
榊原 和子

[掲載]
四条畷学園短期大学紀要, Vol.40, pp.19-29, 2007

[アブストラクト]
21世紀に入った日本は、少子・高齢化という2つの問題を同時に抱え、国民的課題として個々人が様々な負担を強いられている。我々の最大の関心事である健康についても、老後の生活や健康に直接的に関係している厚生年金や健康保険などの見直しが進み、平成12年に導入された介護保険も2005(平成17)年から見直され、2006年度(18年度)から実施されることになった。特記することとして、新予防給付及び新たなサービス体系の確立などが挙げられ、「医療と介護の連携」を強化した内容になっている。人間がこの世に生を受け健康を享受し、心身ともに豊かな生活をおくり死に至るまでのあいだに保健・医療及び福祉は欠くべからざるものであり、一人の人間の一生の過程で常に何らかの関わりを持っている。"ケア"という言葉を共有する"看護"と"介護"の立場で、それぞれが「健康的で尊厳ある生活」を質・量共に保障し、連携を深めながら役割と責任を果たす意義を確認する。また、2006(平成18)年7月に取りまとめられた厚生労働省社会援護局福祉基盤課による「これからの介護を支える人材について-新しい介護福祉士の養成と生涯を通じた能力開発に向けて-」検討委員会報告があり、介護福祉士をめぐる状況の変化や魅力と働きがいのある職場づくりについて今後の方向性と課題が提示されていることなどを含め、「医療と介護の連携」について考察する。

[キーワード]
健康, ケア, 尊厳ある生活, 看護と介護, 介護保険

[要約・感想]
介護職の現状を展望した論文。特に新しいものを報告した論文ではない。
論文の中で「介護職のコンピテンシー」が示されている。
また、プロフェッションについても触れられている。このあたりは参考となる。

「自分をみつめなおすゆとり」か・・・。

働きがいという言葉の捉え方という点では、「魅力と働きがいのある職場づくり」という言葉を用いている。さらに論文の中では、「高いといわれる離職率」といった言葉や、「関心・興味及びモチベーション」「やりがい」という言葉を出している。「やりがい」については、以下のような行がある。「「知」は普遍的な知の体系で、「知恵」は、正しく物事を認識し判断する能力、正しく判断する心の働きである。今の若者は活字離れや読解力不足などさまざまな言い方をされるが、時間をかける事によって知識が知恵になり、仕事に従事する過程で物事を成し遂げることのできる力、すなわち「能力」が身につき仕事に自信と誇りを持つことができ、やりがいに結びつくと考える。」この行から、まずは職務遂行能力を身につけることが必要であり、それが身につくことによって仕事における自身のパフォーマンスに対して「自信」と「誇り」を持てるようになり、それによって「やりがい」がもてるようになる、という流れを想定していると考えられる。加えて、「魅力と働きがいのある職場づくり」を英文アブストラクトでは" the improvement of work place to make it a more attractive profession"と記述している。"profession"は論文中では「(1)誰にでもできない職業であること(厳密な資格制度と養成制度)、(2)仕事をする上で、個人あるいは職業集団の大幅な自主性・自律性があること(仕事をする上で、あれこれ指揮命令を受けない)」と説明されている。このことから、「自主性・自律性」といった言葉も「働きがい」と関連したものとして捉えられていると考えられる。

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