2011年5月17日火曜日

FW: 仕事の特性とワークモチベーション

-----Original Message-----
From: 藤野 秀則
Sent: Tuesday, May 17, 2011 9:24 AM
To: '論文DB'
Subject: 仕事の特性とワークモチベーション


[タイトル]
仕事の特性とワークモチベーション

[著者]
田尾雅夫

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.18, No.1, pp.1-9, 1978

[アブストラクト]
百貨店の従業員 (n=369) における仕事の特性とワークモチヴェーションの関係が, Hackman & Lawler (1971) の枠組にもとずいて分析された。とくに, いわゆる成長欲求のようなより高次のニーズの, それらの関係におよぼす媒介的な効果について検討された。
得られた結果は, ほぼ従来の知見を支持するものであった。つまり, 仕事の特性はワークモチヴェーションと有意な相関関係を示した。そして, 成長欲求の強い従業員では, いくつかの仕事の特性次元とモチヴェーション変数との関係が有意に高いことが示され, 仲介的効果が実証された。しかし, 従来の欧米の研究と比べて, その差は著しいものではない。
加えて, ワークデザィンにおける方法論的な問題が提起された。すなわち, 1) 充実化された仕事に対する反応の個人差に配慮した時, 仕事の複雑さを1つの尺度にまとめることは難かしいこと。2) 人間関係に対する満足感と仕事の複雑さに対する積極的な反応は逆の関係を示す傾向がみられること。つまり, 仕事の特性のワークモチヴェーシ藝ンに対する効果は, そのコンテクストを無視しては得られないことを意味している。3) 公平感のように, 直接仕事の特性とは関係しないにもかかわらず, 仲介的効果を示す外部的な要因が存在しうることなどである。
今後の課題として, 仲介変数などの概念をより明確にしながら, より広範な職種について, 仕事の特性とモチヴェーションの関係の比較検討をおこなうべきである。

[キーワード]
モチベーション、職務満足、職務設計論、職務充実、Hackman & Lawler、

[要約・感想]
ハックマンの職務設計論を基本的枠組みとして、京都の百貨店従業員を対象に調査した研究。書籍「仕事の革新」のベースになっている研究。
付録で質問項目がすべて挙げられているのは参考になる。

「働きがい」という点では「ワークモチベーション(モチベーションと有意味感)」と「外部的要因への満足感(上司との人間関係、同僚との人間関係、公平感、企業との一体感)」を挙げている。

今となっては古典だな・・・。

なお、Hackman & Lawlerが職務特性としてあげている「多様性」「自律性」「仕事のアイデンティティ」「フィードバック」の4項目を「仕事の認知的な特性」と言っている点は興味深い。田尾先生もこれらが「認知」であって、「仕事そのものの本質」ではないということを理解していたということ。
「認知」であった場合には、これらを高めることは「認知を変えること」なので、「本質的にそういうものを付け加える」というよりも信念の改変→説得的アプローチが必要だということ。

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