2009年3月31日火曜日

プラント運転・保守の教育訓練へのVirtual Reality適用研究の展望

[登録日]
2009_03_31_PM_12_01_42

[タイトル]
プラント運転・保守の教育訓練へのVirtual Reality適用研究の展望

[著者]
下田 宏, 石井 裕剛, 山本 倫也, 吉川 榮和

[abstract]
This paper describes present status of virtual reality (VR) application studeies to training environment for engineering plant operation and maintenace work. First, problems of VR appolication to taraining are described, and required elemental technologies for both operation and maintenace training are discussed based on characteristics of actual plant training and general framework of VR-applied training systems. Then, methodlologies and related technologies for constructing VR tarining system are reviewed from the viewpoint of characteristics of operation/maintenance training, following by introduction of som developed training systems both for plant operation and maintenace work. Finally, the present status and future prospects of VR-applied training system are discussed.

[引用元]
ヒューマンインタフェース学会論文誌, Vo.1, No.4 ,pp.35--42, 1999

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
緊張感を喚起することと、リアリティとの関係はどうなんだろうか?直感的には、それが求められることは容易に考えられ、そのため、プラントの場合、中央制御室と完全に同じつくりとなった制御室シミュレータがすでにある。だから、その点については、わざわざ今考えなくても良いということか?フライトシミュレータにおいても、その点は同じであることから、そもそも、列車シミュレータが、あのようなつくりになっていることが誤りなのか。
そもそも、あのシミュレータはいったい何を目的に作られたものなのだろうか?精密な物理シミュレーションの計算ができる点から、運転技能の向上を目指すものなのか?それとも、異常時対応の方法を学ぶためのものなのか?後者なら、どうして、あのような中途半端なつくりにしているのだろうか?・・・わからんなぁ。。。。

緊急時のコミュニケーションモデルに基づいた組織形態評価システムの構築

[登録日]
2009_03_31_PM_12_00_26

[タイトル]
緊急時のコミュニケーションモデルに基づいた組織形態評価システムの構築

[著者]
小磯 貴史, 西田 正吾

[abstract]
It is very important to support communications in emergency for large scale systems. We focus on the evaluation of the organizational structure for emergent situations from the viewpoint of cmmunication. Our approach provides quantitive analysis method, though the function of a qualitative analysis is conducted in social science. First we explain communication model briefly, and discuss how to evaluate organizations by using the model. Futhermore we explain prototype system with GUI.

[引用元]
ヒューマンインタフェース学会論文誌, Vol.1, No.4, pp.63-72, 1999

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
緊急時のコミュニケーションを「権限に関するもの」、「義務に関するもの」、「責任にかんするもの」、「知識に関するもの」という4つのSubjectのいずれかを持つ一対一コミュニケーションであるというモデルを提案するとともに、このモデルに基づいて、組織のコミュニケーションシステムの「ボトルネックの有無」「システム上の無駄」「情報の拡散性」という点を評価することができるシステムを開発している。評価するためのシステムを開発している点は面白い。ただ、コミュニケーションモデルを上記に設定している点については、興味深い一方で、本当にこれだけなの?というところが気になる。特に、1対1に限定している点がちょっとクエッション。

安全と安心を提供するインタフェース

[登録日]
2009_03_31_AM_11_59_06

[タイトル]
安全と安心を提供するインタフェース

[著者]
中谷 美江, 高橋 宏, 石橋 明, 幸田 武久, 中谷 善雄

[abstract]
This paper sumarizes problems with intereface with realizing the safe and secure society, and proposes the solutions, in the domains of the automobile design, aircraft control, industrial plant contol, and social infrastructure management. First, we discuss the necessity of psychological viewpoints of the safety and security, and then, we analyze each domain based on the viewpoint. Our key idea is that that better scoiety can be realized by stable peacefulness without anxiety, along with safe and reliable mechanisms."

[引用元]
ヒューマンインタフェース学会論文誌, Vol.5, No.1, pp1-10, 2003

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
全体としては、当たり前のことを言っている程度の論文だが、4節の、「人の特性」のサマリー、3節終わりの自動車産業における現状の課題(→一般的な課題でもあろう)、同じく、3節前半で書かれている「自動化システム」と人との関係についての考察や自動化システムの在り方についての考察は非常に参考になる点であろう。"

航空管制におけるヒューマンエラーの実相

[登録日]
2009_03_31_AM_11_57_45

[タイトル]
航空管制におけるヒューマンエラーの実相

[著者]
河野 龍太郎

[abstract]


[引用元]
ヒューマンインタフェース学会誌, Vol.3, No.4 , pp.11--18, 2001

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
パイロットと航空管制の関係と、鉄道運転士と指令との関係は以下の通りから、ある程度、同じものとして考えられるのではないだろうか。
(1)基本的には無線によるコミュニケーションで意思疎通を図ること、
(2)パイロットの仕事は、基本的には自分がうけもつ機を中心にシーケンシャルなタスク遂行していくことと捉えられる。
(3)一方、管制官は、レーダ画面を見ながら、様々な機を同時に「管理」する必要がある。
特に、論文の中で紹介されている管制官のタスクの特長は、結構そのまま指令にも当てはまるように思える。
特に、「スノー」とよばれる現象が興味深い。
ふと思ったのだが、「パニック状態」となるのはどういうときかを実験で調べられないだろうか?
たとえば、本論文で示されているスノーのような場合以外にも、直感的には、タスクが急激・爆発的に増加した場合や、予想もしなかった状況に直面し、強い驚き(衝撃)を受けているような場合など。
それが分かれば、パニックを起こさせないようなタスク量の管理やインタフェースの改善等によるワークロード管理ができるのではないだろうか?

ハイテク機コックピットにおけるヒューマンエラーの実相

[登録日]
2009_03_31_AM_11_56_23

[タイトル]
ハイテク機コックピットにおけるヒューマンエラーの実相

[著者]
石橋 明

[abstract]


[引用元]
ヒューマンインタフェース学会誌, Vol.3, No.2, pp.35--42

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
空機の分野でのこれまでの事故の歴史の大まかな流れが描かれる。また、特に、ジェット機が導入された後の大きな事故について、いくつかの分析を紹介している。結構、タイムプレッシャーが掛かる中で、状況認識を誤ったり、喪失したり、あるいは、イリーガルなショートカットを行ったり、バイアスが掛かった思考に基づく判断を下したりしている様子が見て取れる。
なお、次号で、管制官のエラーを見るとのこと。また、本論文と併せて読むべき。

ハイテク機コックピットにおけるヒューマンエラーの実相

[登録日]
2009_03_31_AM_11_56_23

[タイトル]
ハイテク機コックピットにおけるヒューマンエラーの実相

[著者]
石橋 明

[abstract]


[引用元]
ヒューマンインタフェース学会誌, Vol.3, No.2, pp.35--42

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
空機の分野でのこれまでの事故の歴史の大まかな流れが描かれる。また、特に、ジェット機が導入された後の大きな事故について、いくつかの分析を紹介している。結構、タイムプレッシャーが掛かる中で、状況認識を誤ったり、喪失したり、あるいは、イリーガルなショートカットを行ったり、バイアスが掛かった思考に基づく判断を下したりしている様子が見て取れる。
なお、次号で、管制官のエラーを見るとのこと。また、本論文と併せて読むべき。

コンピュータ・グラフィックス(CG)を利用した運転訓練システムの開発(その1)

[登録日]
2009_03_31_AM_11_53_52

[タイトル]
コンピュータ・グラフィックス(CG)を利用した運転訓練システムの開発(その1)

[著者]
高野 研一, 佐相 邦英, 佐野 敏明, 鈴木 弘一, 野地 邦男

[abstract]
Efficient and concurrent operator training seems to be crucial in near future because of an increase in operators to be trained due to gereration alternations. Ever devloped Man-Machine Simulator (MMS) has everal merit: (1) oprators' cognitive and behavioral activities among team in emergency could be simulated based on the concurrent mental model; (2) Simulated scenarios could be expanded to multiple malfunctions events, to all of which procedures could not be stipulated previously; (3)Standard behavior in coping with anomalies including communication and operations could be presented. This paper describes the development of an operator taining system by applying this MMS. Three dimensional computer graphics (3D-CG) was adopted for improving the training effects and attracting operators' interest by visually presenting realistic oprating team behavior in the main control room. Towards the completion of the operator training system, following designs of system configration and devlopments of several basic techniques were availed:
(1) Imaging the utilization of the operator training systems, functions to be equipped and system configrations for realizing functions were determined. And three of scenarios were chosen in order to appeal the merits of the MMS and to raise training effects.
(2) Knowledge base was completed to execute simulations. And Connection between operator team model and plant simulator, that is the 2nd generation type simulator of the BTC-4, was executed to obtain simulation results (time sequential log data of plant dynamics and operating team behavior).
(3) Operator's actions seen in VCR tapes in real training were modeked on 3D-CG using the people Shop software. The 3D-CG of main control panel was prepared using MultiGen Software.

[引用元]
電力中央研究所技術報告S00003, 2001

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
まあ、つまり、実際の異常時の人の動きの全体像を3D-CGで示して、異常時の人の動きのパースペクティブをつけたり、その根拠を理解したりといった「シミュレーション」を示すということ。

訓練体系と訓練の実際に関する一考察

[登録日]
2009_03_31_AM_11_52_40

[タイトル]
訓練体系と訓練の実際に関する一考察

[著者]
北村 和彦

[abstract]


[引用元]
TRC EYE, Vol.102, pp.1-9, 2006

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
あまり参考にならず・・。まあ強いて言うなら、「生活体験や訓練で対応行動を身につけていないと、人間は初めての事態に遭遇したとき、危険で不適切な行動や、パニックに陥って何もできなかったりするものである。・・・効率的・効果的かつ、安全にさまざまな自体を体験しておくことが失敗や危険を回避するために必要である」という点が示唆深い言及である。

多変量解析による情動の分類と原子力プラント運転員の情動における個人差

[登録日]
2009_03_31_AM_11_51_36

[タイトル]
多変量解析による情動の分類と原子力プラント運転員の情動における個人差

[著者]
長谷川 尚子, 吉村 誠一

[abstract]
The purpose of this study is the development of a simulation model which express operators' emotion under plant emergency.This report shows the classification of emotions by multivariate analysis and investigation results conducted to clarify undividual differences of activated emotion influenced by personal traits.
Although a former investigation was conducted to classify emotion into five basic emotions proposed by Johnson-Laird, the basic emotion was not based on real data. For the development of more realistic and accurate simulation model, it is necessary to recognize basic emotion and to classify emotions into them. As a result of analysis by qualification method III and cluster analysis, four basic clustes were clarified, i.e., Emotion expressed towards objects, Emotion affected by objects, Pleasant emotion, and Suprise. Moreover, 51 emotions were ranked in the order accoding to their similarities in each cluster.
An investigation was conducted to clarify individual differencces in emotion process using 87 plant operators. The results showed the differences of emotion depending on the existence of operators' foresight, cognitive style, experience in operation, and consicousness of attribution to an operating team. For example, operators with low self-efficacy, short experience or low consciousness of attribution to a team, feel more intensive emotion under plant emoergency and more affected by severe plant conditions. The model which can express individual differences will be developed utilizing and converting these data hereafter.

[引用元]
電力中央研究所研究報告書S98004, 1999

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
詳細は添付のとおり。「予測の有無」や「個人特性」が情動喚起にどういう影響を与えているかをみている。逆にみれば、「「焦る」といった情動はどのような状況でどのような特性の人に生じるのか」といったことなどが示唆される。

運転作業エラーの新しいリスク評価法

[登録日]
2009_03_31_AM_11_50_30

[タイトル]
運転作業エラーの新しいリスク評価法

[著者]
宮地 由芽子

[abstract]


[引用元]
Railway Research Review, 2008年9月号, pp.28--31

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
note="リスクアセスメントのための基本的な考え方を示している。"
comment="エキスパートによるヒューリスティック分析が基本であることを述べている。
また、分析結果の一例も示しており、その中で、普段あまり遭遇しない事象や、作業標準の変更時、すなわち、経験があまりないところでエラーが多いことを示しており、それらを訓練でフォローする必要があることを述べている。"

ごみ焼却プラント運転訓練用シミュレータ

[登録日]
2009_03_31_AM_11_49_04

[タイトル]
ごみ焼却プラント運転訓練用シミュレータ

[著者]
長谷川 正則, 長屋 敬一, 黒田 学, 橋本 武喜

[abstract]


[引用元]
引用元の雑誌名, Vol.・・, No.・・, pp.・・-・・

[keyword]
NKK技報, Vol.176, pp.30--34, 2002

[独自のkeyword]


[要約・感想]
トレーニングの進め方として、結果の通知の際に、「あるべき運転のプロセス」と「訓練生が行った運転プロセス」を並列表示させる点を特徴としている。
また、この前提として、「あるべき運転プロセス」を「手本運転」データベースとしてまとめている。
ここでは、基本的にGUI操作を前提としているため、手本運転の動作手順を可視化しやすい。実際に運転コンソールがハード的に構成されている電車では、運転プロセスを並列・同期させて提示するのは難しいかもしれない。
ただ、あるべき結果、正しい運転手順をベテランがやる様子をビデオで撮影し、その映像表示させることは可能か。

根本的には、学習プロセス、学習が進んでいく過程のプロセスとしてどのようなモデルを想定するかがKeyであり、そこを考えた上で具体的なシステムを検討すべきだと、論文を読んでいて思った。

VR刺激の生体への影響

[登録日]
2009_03_31_AM_11_47_07

[タイトル]
VR刺激の生体への影響

[著者]
井野 秀一

[abstract]

[引用元]
バイオメカニズム学会誌, Vol.25, No.2, pp.75--80, 2001

[keyword]


[独自のkeyword]


[要約・感想]
note="VR環境に人を置いたときに、人の生理指標による疲労や、自己運動感覚への影響を実験的に調べている。"

comment="直視3D液晶ディスプレイと2Dディプレイで比べた場合、直視3Dが非常に疲労がたまっている様子が計測から明らかになった。連続使用では15分以内、あるいは30分の使用では90分程度の視覚的休憩が必要である。

異種感覚刺激を視覚情報と同期させて与えることで、視覚計の自己運動感覚に関わるVR酔いを軽減あるいは防ぐような効果が得られる可能性があるが、異種感覚入力がどのように作用して視覚誘導の自己運動感覚に関わるVR酔いを軽減させるかは不明である。"

主成分分析に基づくパイロットコメントシートの傾向

[登録日]
2009_03_31_AM_11_45_44

[タイトル]
主成分分析に基づくパイロットコメントシートの傾向

[著者]
住谷 泰人, 小瀬木 滋, 白川 昌之

[abstract]
最近、衝突回避システムのヴァージョンアップが行われた。衝突回避システムが動作した際にはパイロットがコメントシートでの報告を行う。しかし、旧バージョンに比べまだ事故の発生件数が少ないため、コメントシートの内容を単純に分類、集計するだけでは、回避アドバイザリが発生した状況(衝突危機が生じた状況?)についての傾向を見つけることが難しい。そこで、主成分分析によってコメントシートの項目間の関連性などについて考察した。

[引用元]
電子情報通信学会技術報告, Vol.102, No.665, pp.23--28, 2003

[keyword]

[要約・感想]
どのような分析をしているのか(単に主成分分析の知識がないだけかもしれないが・・・)、この結果をどのように使うのかがよくわからない。

2009年3月9日月曜日

整備作業におけるヒューマンエラー防止対策―航空機の安全を守る―

[タイトル]
整備作業におけるヒューマンエラー防止対策―航空機の安全を守る―

[著者]
小堀 寿亮

[abstract]

[引用元]
安全工学Vol.48, No.1, pp.29-35

[keyword]
ヒューマンファクターズ, エラーコントロール, エラーマネージメント, ベーシックマナー

[独自のkeyword]
人が犯すエラー

[要約・感想]
あくまで、「人」の側の対策に注目を当てている気がする。「人はエラーを犯すものであり、信用なら無いものである」という前提に立てば、エラー対策のため、様々なルールを新たに人に課しても、そのルールを確実に守ってくれる保証はない(勿論、ルールがないよりはましだが・・・)やはり、根本的には、「人がエラーを犯す」というのではなく、「組織・システムがエラーを犯した」という視点も、もって、「あいまい、あやふやな人を含むシステムにおいて、如何に、システムにエラーを起こさせないか」、「そのためにはシステムはどのような設計となっているべきか」を考えるという視点にも、もっと注意を持っていくべきではないだろうか。


勿論、「人」にルールを課すことも必要であるが、「人が守らなければ鳴らない」ルールではなく、「人が頑張らなくても「守ってしまう」ルール」を考えていきたい。

2009年2月20日金曜日

異常時の作業遂行能力に関する概念整理

登録日:2009_02_20_PM_04_20_12

タイトル:異常時の作業遂行能力に関する概念整理

著者:井上 貴文

abstract: The safety of railway operation has improved in usual situations due to a number of security measures. On the other hand, "the ablity of workers in unusual situations" (hereinafter referred to as AWUS) to perform their duty is becoming more and more important, where safety is still dependent on it. AWUS is lower than that in usual situations since workers are unfamiliar with non-regular work and distrubed by their evoked tension. One of the way to predict AWUS is to evaluate in the education phase and another is in the aptitude test phase. This paper discussed methods of suitable evaluation for this purpose.

引用元:鉄道総研報告, Vol.19, No.1, pp.43-46, 2005

keyword:異常時, 作業遂行能力, 教育・訓練, 適性検査, 緊急時, 能力評価

独自のkeyword:メカニズム, 概念整理

要約・感想:鉄道の運転時における「異常時」の特徴を考察し、さらに、異常時対処能力の評価方法について検討とている。



<異常時の特徴>

1.本質的に、個々の運転士が異常時に接する機会はきわめて少なく、平常時での運転取扱いに比べ、異常時の取扱いは習熟が進まないものである。

2.「異常時」はさらに「平常時→異常時」という移行状況と、「移行後の異常時」という2つに分けられる。前者は、異常時となりかかっている状況において、「異常時になってしまう」のを防ぐか、あるいは、「移行後の異常時」をどのような「異常時」とするかを規定するプロセスである。一方、後者は、「異常時になりきった後(どのような異常時かが確定した後)、平常時に復旧するプロセスである。後者は、基本的にマニュアルが存在する。

3.いずれの場合においても、運転士はタイムプレッシャーを受けるが、特に前者においては、状況がダイナミックに変化していくため、そのダイナミズムの下で適正な行動が取れなければ、状況がさらに悪化していく。このため、運転士は、物理量としての「時間的余裕」が少なくなる。一方、後者においては、状況は比較的安定しているが、列車遅延への責任感や、実際に乗っている乗客の目からくる心理的なタイムプレッシャーを受ける。

4.一方で、「異常時」は「比較的よく直面する異常時」と「めったに直面しない異常時」がある。前者においては、異常時というよりは、「平常時」と捉えても良いと考えられる。(どの程度の頻度で直面する異常時が「近似的平常時」であるか研究しても面白いかもしれない)



<運転士の行動>

1.基本的には、望ましくない情動が喚起され、注意容量の制限を受ける。

2.特に異常時への移行状況においては、「驚き、緊張、焦り」などの情動が生じ、注意容量が制限され、行動の遅れや、誤った意思決定が生じる。

3.移行後の異常時状況においては、タイムプレッシャーから「緊張、焦り、切迫感」などの情動が生じる。基本的に、マニュアルにしたがっていればよいが、教育・習熟の問題から、平常時に比べれば、例えマニュアルに従った作業であっても、エラーが起りやすい。



<教育・訓練、評価方法>

1.教育・訓練は、基本的には実車訓練、シミュレータ訓練(運転台シミュレータから、PC上で動作する程度のものまで)に依る。

2.異常時対処能力の評価には、現実的には3つの方法がある。すなわち、①実際の具体的取扱い行動の発現の有無からの評価、②行動観察に基づくその時々の運転士の心理状態の評価、③運転士自身の申告からの評価、である。

┌----------------┐

|        |←-行動評価←-------┬-行動観察(他者)

|運転士の対処能力|          |

|(行動・心理) |          ↓

|        |←-心理状態の評価←-┴-自己申告(本人)

└----------------┘

  ↑これを見たいが、直接みれない。



3.いずれも弱点があり、これらを組み合わせる必要がある。

2009年2月19日木曜日

原子力におけるヒューマンモデル研究の現状と応用領域の展望

タイトル
原子力におけるヒューマンモデル研究の現状と応用領域の展望

著者
吉川 榮和, 古田 一雄, 中川 庸雄, 吉村 誠一, 吉田 一雄, 内藤 憲夫

abstract
abst

引用元
日本原子力学会誌, Vol.41, No.1, pp.2-14, 1999

keyword
Keyword

独自のkeyword
Keyword

要約・感想
得に原子力にけるヒューマンモデル研究、特に人の内部処理(認知)モデルの開発やそのインタフェース設計への応用に関して展望している。いろいろと参考になりそう。

A taxonomy of human communication errors and application to railway track maintenance

タイトル
A taxonomy of human communication errors and application to railway track maintenance

著者
Gibson, W. H., Megaw, E. D., Young, M. S., Lowe, E.

abstract
This paper propose a communication error taxonomy that takes into account both the aspects of communication which are unique to human performance and those which can fit into broader human error classifications. Relevant taxonomy elements are applied to communication errors related to railway track maintenance. The analysis was based on communication data captured from voice recording of conversations between signallers and trackside personnel. The recordings were transcribed and then classified in relation to communication topic and error types. These data provide a better understanding of the communication process and also provide human error probability data for use in human reliability assessment.

引用元
Cognition, Technology, and Work, Vol.8, No.1, pp.57-66, 2006

keyword
Keyword

独自のkeyword
Keyword

要約・感想
コミュニケーションエラーの分類方法として3つの軸がある。一つは、「コミュニケーションの送信側は正しい情報を伝えたが、受信の際に失敗した」エラー。2つめは、規定の文法からの逸脱、すなわち「コミュニケーションの送信側が正しく情報を伝えなかった」。3つ目は、そもそもの伝達する内容自体の誤り。1つ目と2つ目は、伝えようとする内容や意図は正しいが、実行過程でエラーが生じたもの。

後半、いろいろとがんばって統計的な分析をしているが、結論として、いったい何を言いたいのかさっぱり分からん・・・汗

A Framework for Simulating Human Cognitive Behavior and Movement when Predicting Impacts of Catastrophic Events

タイトル
A Framework for Simulating Human Cognitive Behavior and Movement when Predicting Impacts of Catastrophic Events

著者
Court, M., Pitman, J., Alexopoulos, C., Goldsman, D., Kim, S. H., Loper, M., Pritchett, A., Haddock, J.

abstract
Our nation has seen an increased need to train its civil authorities and emergency personnel under life-threatening scenarios where human life and critical infrastructure are assumed to be at risk. This training is typically obtained or re-enforced via (human) performance-based tests. At issue is the ability to accurately simulate the scenarios without exposing personnel or human test subjects to injury. In addition, these performance-based tests carry a large monetary cost, and certain scenarios are so complicated, catastrophic or rare that any performance-based test is unrealistic. Our paper outlines the research that must be conducted to develop a framework for modeling and analyzing risk-assessment and decision making when evacuating large populations. The research is aimed ate extending an existing construct for simulating passenger and crew behavior during aircraft evacuations, to larger populations, and relies upon rare-event simulation method, parallel-and-distributed simulation and agent-based simulation.

引用元
Proceedings of the 24 Winter Simulation Conference, pp.830--838, 2004

keyword
Keyword
独自のkeyword
Keyword

要約・感想
航空機からの脱出シミュレータを基に、多数の被災者が出る大規模災害時の被災者の行動をシミュレーションするシステムのフレームワークを提案している。

その中で、特にパニックが起こった際の人の行動が参考になるかなぁと思ったが、特にそこを深く考察しているわけではなく、実装に向けた基本ポリシーとしては、「情報収集力の低下」「各キャラクタ特性の減退」という形で、すなわち、「パニックになると全体のパースペクティブを失う」「パニックになると、情報収集能力が低下する」、「特に、人の性格的違いは影を潜める(どんな人も似たような振る舞いをするようになる)」を基本としている。

Human factors in support of a successful railway: a review

タイトル
Human factors in support of a successful railway: a review

著者
Wilson, J. R., Norris, B. J.

abstract
One of the critical infrastructure components in most economies across the world is the rail network. In different nations rail is responsible for ensuring that there is not complete gridlock on the roads in commuter hours, and for moving both people and freight for long distances in an as efficient manner as possible. This critical role, a number of high profile accidents and proposals for new network control philosophies and systems have led to a great upsurge in human factors rail research and applications in the past few years. This paper provides a retrospective on rail human factors research covering driving, signaling and control, maintenance, incident reporting systems, passengers and the public, planning and technical systems change. This research foundation, and also current major rail human factors programmes, are placed in the context of technology, investment, competition, cultural and safety requirements and constraints. The paper concludes with an examination of where rail human factors should and will be going into the future.

引用元
Cognition, Technology, and Work, Vol.8, No.1, pp.4-14. 2006

keyword
Keyword
独自のkeyword
Keyword
要約・感想
吉川先生がHI学会誌で紹介した「成功する鉄道を支援するヒューマンファクター研究の展望」を受けて読んだ論文。ヨーロッパでの鉄道でのHF研究が展望できる。

ヨーロッパでも、1990年代までは、鉄道のHF研究はあまり進められてこなかったが、現在、徐々に、その研究が広がってきている様子が伺える。

ヒューマンエラー誘発機能を実装したVR訓練システムの開発と現場への適用

タイトル
ヒューマンエラー誘発機能を実装したVR訓練システムの開発と現場への適用

著者
渡部 直人, 高橋 和也, 原田 哲也

abstract
電気事業の現実業務を対象に、バーチャルリアリティ(以下、VR)訓練システムを思索した。どうシステムは、現実の業務を実行中に起こりがちなさまざまなヒューマンエラーを誘発(以下、トラップ機能)させる機能を実装したことが最大の特色である。試作版の完成後に、上記機能の効果を反転しる方法の検討を行い、最初の試みとして、脳活動に関する基礎的なデータを取得した。

引用元
電子情報通信学会技術報告, Vol.106, No.143, pp.65-68, 2006

keyword
Keyword

独自のkeyword
Keyword

要約・感想
(めずらしくネガティブな感想しかもてない論文だった・・・)
エラーとして、どのようなものが起こしえるのかを分析して、その結果、それらを起こしやすいような、複雑・非定常なシチュエーションを用意している。けど、後半の実験では、目的と出している結果がどう結びついているのかがさっぱり分からない。

ストレス状況に置かれた生徒に対する「生徒指導」方法―達成動機,対処法略,および適応の関係を基に―

タイトル
ストレス状況に置かれた生徒に対する「生徒指導」方法―達成動機,対処法略,および適応の関係を基に―

著者
樋口 康彦

abstract
The purpose of this study is ;(1) to investigate the relationship between coping strategy and adjustment among mentally healthy subjects in streesful situations, and ;(2) to investigate the relationship between achevement motivation, coping strategy and adjustment in the same situgations. One hundred and fifty-four male high school students were selected as subjects and these data were collected by means of questionnaires.

As the result of analysis, the next knowledge was obtained;

1. Concerning the relationship between coping strategy and adjustment, active engagement are closely related to high adjustment, but passive acceptance and escapism aren't related to adjustment. And the relationship between self-examination and adjustment and between seeking support and adjustmen are ate the mercy of stressful situations's trait.

2. As a whole, in stressful situations high achievement motivation leads to effective coping strategy, and as the result of that process adjustment is brought on. But low achievment motivation leads to ineffective coping strategy and as the result of that process adustment isn't broug on.

引用元
富山国際大学国際教養学部紀要, Vol.1, pp.1-16, 2005

keyword
stressful situation, achievement motivation, coping strategy, adjustment

独自のkeyword
因子分析

要約・感想
ストレス状況での対処法略について、対処法略を生み出す心理的要因と対処法略との関係、および、対処後の適応・不適応と対処法略との関係を、高校生・学校場面を対象に調査している。

内容もさることながら、研究の進め方や分析の進め方は参考になると思われる。

現実世界のリアリティを目指す高臨場感ディスプレイ 6. CAVEシステム

登録日:2009_02_19_PM_06_00_14

タイトル:現実世界のリアリティを目指す高臨場感ディスプレイ 6. CAVEシステム

著者:松重 重明

abstract:CAVEの紹介。ただそれだけ。

引用元:映像情報メディア学会誌, Vol.52, No.7, pp.925--928, 1998

keyword:

独自のkeyword:

要約・感想:CAVEでかなりの没入感が得られる様子が簡単ながら紹介されている。

PC版機関室シミュレータの開発と評価

登録日:2009_02_19_PM_05_58_43

タイトル:PC版機関室シミュレータの開発と評価

著者:池西 憲治, 山本 創二郎, 青森 直人

abstract:船舶機関士の養成目的で、基礎的知識(操作手順や運転監視に関する知識)の習得を目的とした訓練のために、PC上で動作する機関室シミュレータを開発した。しかし、「それを用いて実際に『効果的』な教育・訓練を行うためにはどうすればよいか」、が現状はわからない。そこで、実際に、学生を相手に試しに訓練を行ってみて、学生から印象を聞き取る調査を実施した。その結果、知識の獲得についてはほぼ目的が達成されていることが確認できた。加えて、特に日本人に対しては、語学面での不自由さによって、教育効果が低下している様子が伺えた。

引用元:日本教育工学会論文誌, Vol.28, No.Suppl, pp.201--204, 2004

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要約・感想:あくまで、ここではモニタ表示部分だけをシミュレートしている(そこの部分はかなり詳細にシミュレートしている)。すなわち、あくまで、各機関の動作手順の理解や監視の知識が目的である。あくまで「実際の場面でも、冷静に対処できる(冷静に状況を認知し、理解できる)」ということ前提であれば、これだけでもよいかもしれないが、実際には焦りや動転、驚きなどによって、冷静な対処が難しい場合も考えられる。したがって、「そのような場面にも、正しく定められた手続きを取れるようになること」を目的とした訓練においては、このようなモニタ監視部のシミュレートだけでなく、操作系もシミュレートするべきである。おそらく、そのような部分の訓練は、このPC版では期待しておらず、フルミッションと呼ばれるシミュレータで訓練しているのだろう。



おそらく、異常時でも正しい手続きが取れるようにするためには、その状況を繰り返し体験する(訓練する)ことによって、手続きを確実に1つのスキーマとして「身にしみこませる」ということが必要なのではないだろうか。これは、個々の動作をスキーマとして纏め上げるだけでなく、各スキーマが連なった一連の行動プロセス、スキーマの繋がり自体(いわゆるルールベース)をスキーマとして持っておくことも意味している。



ここで、これらのスキーマ形成(すなわち学習)が円滑に進む、あるいは、ふと意識の介入によってスキーマの発火が止まってしまった場合にも正しくスキーマに再点火できるようにするために、手続きの根本にある基本ポリシーを合わせて教育することが必要であると考えられる。



※あせったり、動転したりしているときには、意識的な状況同定が起こらない(ショートカット)や状況同定が失敗する。そして、長期的視野が失われるため、そのときに発火しやすかったスキーマ(動作スキーマや思考スキーマ)が発火する。イリーガルなスキーマが発火することもある。なお、ここでは「違反・隠蔽」等を促すような、「罰を受けることへの恐れ」「自尊心が損なわれることへの恐れ」等の情緒の発火は含まないこととする。

コンピュータ・グラフィックス(CG)を利用した運転訓練システムの開発(その1)

登録日:2009_02_19_PM_05_55_04

タイトル:コンピュータ・グラフィックス(CG)を利用した運転訓練システムの開発(その1)

著者:高野 研一

abstract:Please input the abstract of the paper

引用元:電中研報告

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要約・感想:参考となる基本ポリシーが簡単明瞭に書かれている。さらに、「異常時のチームの対応時の認知過程や行動過程をダイナミックに模擬することに成功した」とあり、それからシミュレータによる異常時対応をビジュアル化しようというのが研究の目的r

VR技術を利用した操作系訓練支援システム : 基本システムの設計と評価

登録日:2009_02_19_PM_05_54_18

タイトル:VR技術を利用した操作系訓練支援システム : 基本システムの設計と評価

著者:大崎 淳一,松原 行宏, 岩根 典之, 中村 学

abstract:

引用元:電子情報通信学会技術研究報告, Vol.105, No.336, pp.1-6

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要約・感想:"発電プラントにおける操作系訓練のためのVRについて、反力デバイスによる操作系のシミュレーションを付加した。"

comment="引用文献で、古田先生の論文が参考になりそう。また、著者らのポリシーとして臨場感が必要であるという点を、実証はしていないものの、強調している。

3 インタラクティブシミュレーション : 3-1 教育・訓練システム---フライトシミュレータ---

登録日:2009_02_19_PM_05_53_07

タイトル:3 インタラクティブシミュレーション : 3-1 教育・訓練システム---フライトシミュレータ---

著者:テレビジョン学会誌

abstract:フライトシミュレータのシステム構成の概要

引用元:テレビジョン学会誌, Vol.46, No.6, pp.685--689

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要約・感想:そのまま。ただ、絵を見る限りは、完全にコックピットを模擬している(閉鎖的空間であるという点も含め)ように思われる。

バーチャルリアリティと生体

登録日:2009_02_19_PM_05_17_59

タイトル:バーチャルリアリティと生体

著者:舘 暲

abstract:

引用元:電子情報通信学会誌, Vol.81, No.2, pp.160-165, 1998

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独自のkeyword:

要約・感想:臨場感、没入感について、感覚としてではなく、それによって生じる情動などはシミュレートできるのだろうか?なんか、それは基本的にVRだからできるというのではなく、「文脈」をどのように認識しているかによるか。。。

臨場感の高いvR空間に没入することによって、本当にその状況に「感情的な移入」をしてしまうということはありえるか・・・な?。それ自体を調べる必要がある。ポイントは臨場感を高めることによって、自身が置かれている状況を「訓練」ではなく、「実環境である」という疑似体験をする。たとえば、事故訓練の中で、「本気で」自分が事故にあったように、「その空間にいる限り『思い込む』」ということが起こせるのかどうか。そうすれば、実際の状況を模擬できる。



しかし、それは本質的に無理なのかもしれない・・・(だって、状況が「訓練である」という厳然とした事実があるんだもの。。。ただ、対処行動のスキーマがスムーズに発火するかどうかを見ることによって「焦り」という認知システムが混乱する中でもそれが発火するほどに、スキーマが定着しているかどうかはテストできなくはないか・・・。あるいは、そのスキーマを反復練習によって自身の中に刻銘するという方法が訓練として考えられる。



まあ、いずれにせよ、臨場感を高めさせることは目指すことは悪いことではないとは思うが、、、費用対効果の面から本当にそれが効果的かがポイント。できる範囲がどこまでなのか。それ以上のことをすることにどの程度の意味・意義があるかを見積もる必要がある。

特許公開2004-279945 訓練システムおよび訓練システムのシナリオ構築方法

登録日:2009_02_19_PM_05_16_12

タイトル:特許公開2004-279945 訓練システムおよび訓練システムのシナリオ構築方法

著者:

abstract:

引用元:

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要約・感想:シナリオ構成のシステム自体は別段、物珍しいものではない気がするが、ポイントは、分岐確率によってシナリオを自動で選択できるところ。これによって、現実の事故場面の遭遇確率に即したシナリオの自動選択が行われる。

3次元コンピュータグラフィックス技術を用いた教育訓練支援システムの試作

登録日:2009_02_19_PM_05_15_22

タイトル:3次元コンピュータグラフィックス技術を用いた教育訓練支援システムの試作

著者:九手 明純, 花房 英光, 松岡 由了, 知手 育夫

abstract:

引用元:INSS Journal, Vol.5, pp.135-141

keyword:

独自のkeyword:

要約・感想:機器の分解・組み立てに関する教育・訓練支援システム。実機を用いた訓練では、力加減の習得という点も目的としているが、そこまではこの時点では技術的に無理だった(今は知らないが)ので、構造理解や手順習得といった従来、机上の座学で行われている部分を主目的にすえている。



あくまで、システム構成の紹介が論文のメインで、実際にこのシステムをどのように運用していくかは、方針は示されているものの、具体的には提示されていない。

原子力プラント運転員の情動が認知行動に及ぼす影響

登録日:2009_02_19_PM_05_14_05

タイトル:原子力プラント運転員の情動が認知行動に及ぼす影響

著者:長谷川 尚子, 吉村 誠一

引用元:電力中央研究所研究報告書S97001

独自のkeyword

要約・感想:いろいろと参考になる論文。特に、情動と予想される行動については、きわめて示唆深いないようだと思われる。

火力発電所訓練用シミュレータについて

登録日:2009_02_19_PM_05_13_12

タイトル:火力発電所訓練用シミュレータについて

著者:船橋 一之

引用元:日本機械学会, Vol.70, No.586,pp.65-69,1967.

要約・感想:かなり古い文献であるので、直接何かの参考になるかはわからないが、基本的な考え方が示されている。基本的には、シミュレータを用いることそのものの目的は、プラント運転に関するより実物に即した訓練、「実体験を伴った学習・発見学習」である。すなわち、知識獲得がメインである。
コミュニケーションの大切さ等については、「合宿を組む」、「相互に役割を変更した訓練をする」ことによる相互の作業の理解・・・などによって行われている。

2009年2月16日月曜日

列車運転シミュレータ上で発生するヒューマンエラー

タイトル
列車運転シミュレータ上で発生するヒューマンエラー

著者
深沢 伸幸, 倉又 哲夫, 佐藤 清, 澤 貢, 水上 直樹, 赤塚 肇

abstract
This research aims at analyzing human errors committed in operating a train simulator. Six maile subjects, aged from 30 to 54, who were not experienced train operation participated in a two-day error susceptibility experiment after a three-day rehearsal of simulator operation. During the experiment, they committed 163 errors of six patterns at an error occurrence ration rating from 10^-4 to 10^-2. We also performed a case study on human errors that caused overrunning stop signals based on the data of train performance curve. The study results show that the train operation simulator can effectively be used analyze human errors in train operation.

引用元
鉄道総研報告, Vol.17, No.1, pp.15-18, 2003

keyword
ヒューマンエラー, 列車運転シミュレータ, 停止位置不良事故, 運転曲線

独自のkeyword
アイマークカメラ, エラー分析, エラー発生過程

要約・感想
当初の目的が、エラーの発生過程の分析なのに、結論が「シミュレータでエラーが模擬できる」という結論なのは、納得がいかない。

ただ、中で書かれているエラーの発生過程(メカニズム)の分析や考察は、中々興味深い。

<習熟過程でのエラー>
  • スキル・ルールの未定着
<習熟後のエラー>
  • 慣れによるそれまで多く発火していた行動の誤った場面での自動発火(思わずやってしまった、つまりはSlip)、
  • 慣れによる状況全体に向けられるリソース縮小による(つまりは集中力低下による)ルール(指差喚呼)の意識からの抜け、(Lapse)
  • 反復作業によるイリーガルな「強化学習」からくる、「外部環境を『積極的に』見ようとする」意欲の低下
  • 慣れから来る一時的な覚醒水準の低下
<覚醒水準の低下によるエラー>
  • 覚醒水準の低下(注視点のコントロールの喪失)→覚醒水準の復帰(したと考えられる)(注視点の移動パターンから慌てが見て取れる)→錯誤→誤った操作

2009年2月13日金曜日

機関室シミュレータ訓練の現状

タイトル
機関室シミュレータ訓練の現状

著者
中澤 武, 田中 賢悟, 胡 先富, 杉田 英昭

abstract
A practical training method using an Engine Room Simulator (ERS) has been introduced as an effective training for the students of marine engineering course at maritime institutions, especially, since the adoption of 1995 amendment to the STCW Convention. The authors have introduced the STCW Convention and Codes, the contents of IMO Model course 2.07 and the Standard for certification of ERSs by Det Norske Veritas. In this paper, the current state of training using ERSs in Japan and overseas is compared, and the directivity and possiblity of educational training using ERSs is discussed.

引用元
神戸大学海事科学部紀要第1号, pp.19-26, 2004

keyword
International Convention, Maritime Education and Training, Engine Room Simulator

独自のkeyword
船舶におけるシミュレータの訓練への応用

要約・感想
やはり、省察 が大切ということか。あと、単純に、訓練の時間が短いことが問題なのかも。

マンマシンシミュレータを用いた運転訓練システムの開発

タイトル
マンマシンシミュレータを用いた運転訓練システムの開発

著者
佐相 邦英, 高野 研一, 佐野 敏明

abstract
This paper describes the concept and development progress of an operator training system based on Man Machine Simulator (MMS) developed by CRIEPI, which simulates the behavior of an operating team under abnormal operating conditions behaves as results of computer simulation of them. This system uses 3D computer graphics to present the behavior of the simulated team and the contorol panels. This system uses Boston Dynamics Inc.'s PeopleShop in order to describe the 3D images of operator's behavior. On the 3D CG controlpanels, indications of gauges are changeable and lights of alarms go on and out, reflecting the simulated plant behavior.

引用元
日本機械学会 第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, pp.317-320, 2002

keyword
Keyword

独自のkeyword
シミュレーション

要約・感想
要するに、VRアニメを作成するシステム。

状況を第3者の位置から俯瞰することのによる学習を促す。特に、「悪い状況」を見せるのに、効果的ではないだろうか。「良い状況」は、おそらくビデオ撮影の方が良いだろう。

2009年2月4日水曜日

非定常時・異常時パフォーマンスを測定可能な多重選択反応検査の開発

登録日:2009_02_4_AM_08_49_33

タイトル:非定常時・異常時パフォーマンスを測定可能な多重選択反応検査の開発

著者:青沼 新一, 静山 弘美, 高田 雄一郎, 楠神 健

abstract: 現在の鉄道の運転適性検査体系は、1949年の制定以来大きな見直しを受けることなく今日に至っている。その間、運転環境は大きく変化し、要注意なヒューマンエラーの内容も非定常時・異常時にシフトしてきた。このため、既存の運転適性検査の事故やエラーに対する識別力を考慮しながら、今後、重要になると想定される非定常時・異常時パフォーマンスの予測が可能な適性検査を複数の選択反応(色・形・音)を組み合わせた多重選択反応検査として開発した。また、その妥当性(予測可能性)を、非定常時・異常時パフォーマンスに加え各種エラーおよび実際の運転作業における取扱い誤り事情に対して確認した。

引用元:JR EAST Technical Review, No.21, pp.35-41

keyword:運転適性検査, 多重選択反応検査, 心理適性検査, 異常時パフォーマンス, ヒューマンエラー

独自のkeyword:過去のエラーの分類

要約・感想:09.2.4

現時点では、前半のエラーの分類の部分のみしか目を通していないが、この部分を見る限り、非常にやっていることが似ている。ただ、相違点としては、



1.異常時の行動モデルが最初からある程度決め打ちされている。一方、こちらが行った内容は、認知行動モデルの一般的モデルをもとに分類したもので、いわば、「『異常時の行動モデル』を描くために」分類したものである。

2.また、分類の仕方も、結構大雑把である。

3.さらに、論文だけからは、何を情報源にして分類したものであるかが分からない。「真っ白等」がないというのは、言葉を濁した記述にはなっているが、にわかには信じがたい。



これらの点が、逆に、こちらの結果を発表するときの新規性・有用性になるのではないか。

2009年1月29日木曜日

安全教育における擬似的な危険体験の効果と課題

タイトル
安全教育における擬似的な危険体験の効果と課題

著者
中村 隆宏

abstract
 労働安全教育の現場では「体験型教育」「体感教育」等の擬似的な体験を取り入れた教育手法が展開されている。しかし、その理論的背景について十分な検討がなされないまま「体験すること」のみが重視された結果、労働者の実質的な安全態度の向上につながらず、むしろ労働者の不安全行動を助長する自体が生じることも懸念される。
 本稿では、労働安全教育における擬似的な体験の意義と諸課題について検討した。教育効果向上のためには、単なる体験にとどまることなく、実際場面で遭遇する危険とその対処方法について具体的なイメージを形成し、過去経験と結びつけて展開を図ることが重要である。また、危険補償行動に対して適切な対応を図らなければむしろ、災害発生李とを高める可能性があり、新たな教育手法の普及・展開においてはこうした副作用を十分に考慮する必要がある。

引用元
安全工学会誌, Vol.46, No.2, pp.82-88 (2007)

keyword
安全教育, 危険補償, イメージ・トレーニング

独自のkeyword
実体験と模擬体験との関連付け

要約・感想
シミュレータを活用した訓練の全体像を設計する上で持っておかなければならない視座を示している。

シミュレータはどんなにがんばってもシミュレータに過ぎない。ややもすると、シミュレータのリアリティやインパクトのみに目が行き勝ちであるが、それを追及したとしても、結局のところ、それのみでは、「シミュレータ」というゲームに「勝つための方法」を身につけるに過ぎなくなり、現場で活用されている知識と独立したものとなってしまう。

よって、シミュレータを活用する際には、シミュレータでの体験を鍵として位置づけ、実際の各訓練生が持つ実世界の自分の作業のイメージを引き出したり膨らませたりすることが必要である。そうすることで、シミュレータのリアリティという点の問題をクリアも出来るし、何よりも、「実際に活用される知識」と「シミュレータを用いた『訓練』で獲得される知識」とが結びつく。

 まあ、要するに、あとのフォローアップで、シミュレータで得た体験と、各人の実世界のイメージを結びつけるようなフォローアップ方法が必要だということ。

2009年1月19日月曜日

サービスの信頼性とサービス工学

タイトル
サービスの信頼性とサービス工学

著者

下村 芳樹

abstract

近年、サービスの設計・生産に工学的・科学的なアプローチを適用することにより、その飛躍的な改善を実現することへの期待が急速に高まっている。本稿ではサービス工学と呼ぶ新しい研究領域の概念とそこにおける研究の一環として開発を進めているサービスCADについて紹介するとともに、サービスと信頼性の関係に関する私見に基づく分析を試みる。

引用元

日本信頼性学会誌, Vol.31, No.1, pp.2-9, 2009

keyword

独自のkeyword
サービスの定義、サービスの特徴、サービスの表現方法

要約・感想

1.はじめに・・・

サービスの評価は受け手の個人的主観に強く支配される(サービスの変動性)、生産と消費が同時に起る(サービスの同時性)、明確な物理的形がない(サービスの無形性)、サービスは在庫を作れない(サービスの消滅性)という特徴がある。従来の工学では、あくまで物理的実体を持った「モノ」を対象としていたが、これらの特徴をもつサービスに対しては、従来とは異なるアプローチが必要である。そこで、本論文ではどのような工学的アプローチが可能であるかを展望している。



2.サービスと信頼性・・・

サービスの信頼性を、個々の受け手に提供されるその場その場でのサービスそのものの信頼性(※:論文では品質と同義に用いている)を「モノ」の信頼性と同様に取り扱うことは困難だが、サービスを提供する「仕組み」に関しては、「あるクラスタの顧客層をターゲットとして、その顧客層が持つ満足度を統計的に処理して、一定の範囲内に収める、そのようなことが可能な仕組みを構築する」という観点から、信頼性を取り扱うことは可能であると考えられる。実際、Customer Satisfaction Indexを用いて、信頼性を可視化する取り組みは多くなされている。しかし、これは、あくまで現状把握にとどまっており、そこから、安定したサービス品質を実現するための直接的な方法論は生まれない。そこで、筆者らは、サービスの仕組みの信頼性とサービス生産性の双方を向上することを目的として「直接的方法論」を研究している。



3.サービス工学・・・

サービスを「提供者が、対価を伴って、受給者が望む状態変化を引き起こす行為」と定義されている。そして、受給者状態パラメータという観点を出して、「このパラメータが好ましい方向に変化するときに、受給者は満足する」と定義している。すなわち、本質的に主観性が伴っている。したがって、工学的アプローチをするには、「受給者モデル」を明確化する(簡単に言えば、ターゲットを明確にする)ことが必要である。

 次いで、受給者モデルとしての受給者状態パラメータから、サービスを表現するモデルとして、「ビューモデル」「スコープモデル」「フローモデル」という3つのサブモデルからなる表現方法を提示している。ビューモデルとは、個々の受給者状態パラメータから、具体的にアプローチを掛けることができる方法に落とし込むために、機能・属性のグラフで、受給者状態パラメータを表現するものである。スコープモデルとは、個々の受給者状態パラメータの集合であり、受給者全体を描きだすものである。フローモデルとは、サービス提供者から受給者までの全体構造を、サービスを中継するエージェントの存在も含めたフローで描き出すものである。

 筆者らは、これらを実際にサービスCADソフトとして実装している。



4.サービス信頼性のための動的表現

 「ビューモデル」、「スコープモデル」、「フローモデル」の3つは、サービスを静的に把握するものであるが、実際に、サービスが提供されるプロセスをのものを描くものではない。そこで、サービスが提供される過程を描くものとして「拡張Service Blueprint」を提示している。これは、ビジネスモデルを描く表記法の一つであるBusiness Process Modeling Notationと呼ばれる図形描写を用いて、サービスが提供されるダイナミックな過程を表現しようというものである。



5.おわりに・・・略



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要は、ターゲットを明確にすること、顧客のニーズを分析すること、ニーズを自分たちの具体的行動に落とし込むこと、その具体的行動-ニーズの関係を持続可能な形で満足させ続けるための「仕組み」を描き実現すること、という当たり前のことを言っている。ただ、工学的にアプローチするための概念、考え方の方法論として「ビューモデル」「スコープモデル」「フローモデル」「拡張サービスブループリント」という4つの概念を提案している点は着目したい。



この手の話を聞いていつも感じることは顧客のニーズが前提にありき、顧客は神様、という考え方がある点への違和感である。たしかに、企業を利益を上げるための機構と考えるならば、その考え方で十分であるかもしれないが、一般的な人にとって本当にハッピーなこととはどんなことなのかをキチンと判っておかなければならないのではないか?勿論、こんなことの回答は直ぐ出せるものではないが、少なくとも、「人はどういったときに幸福なのか」というものについてのポリシー、それも、自分たちの守備範囲内のみにとどまるポリシーではなく、社会全体の仕組み全体の中で、人がどうなるのがハッピーなのか、を存分に考え続け、その中で、自分たちの守備範囲を位置づけて、どのように、自分たちの守備範囲がハッピーにつながっているかを判っていなければならないのではないか?