2009年2月19日木曜日

PC版機関室シミュレータの開発と評価

登録日:2009_02_19_PM_05_58_43

タイトル:PC版機関室シミュレータの開発と評価

著者:池西 憲治, 山本 創二郎, 青森 直人

abstract:船舶機関士の養成目的で、基礎的知識(操作手順や運転監視に関する知識)の習得を目的とした訓練のために、PC上で動作する機関室シミュレータを開発した。しかし、「それを用いて実際に『効果的』な教育・訓練を行うためにはどうすればよいか」、が現状はわからない。そこで、実際に、学生を相手に試しに訓練を行ってみて、学生から印象を聞き取る調査を実施した。その結果、知識の獲得についてはほぼ目的が達成されていることが確認できた。加えて、特に日本人に対しては、語学面での不自由さによって、教育効果が低下している様子が伺えた。

引用元:日本教育工学会論文誌, Vol.28, No.Suppl, pp.201--204, 2004

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要約・感想:あくまで、ここではモニタ表示部分だけをシミュレートしている(そこの部分はかなり詳細にシミュレートしている)。すなわち、あくまで、各機関の動作手順の理解や監視の知識が目的である。あくまで「実際の場面でも、冷静に対処できる(冷静に状況を認知し、理解できる)」ということ前提であれば、これだけでもよいかもしれないが、実際には焦りや動転、驚きなどによって、冷静な対処が難しい場合も考えられる。したがって、「そのような場面にも、正しく定められた手続きを取れるようになること」を目的とした訓練においては、このようなモニタ監視部のシミュレートだけでなく、操作系もシミュレートするべきである。おそらく、そのような部分の訓練は、このPC版では期待しておらず、フルミッションと呼ばれるシミュレータで訓練しているのだろう。



おそらく、異常時でも正しい手続きが取れるようにするためには、その状況を繰り返し体験する(訓練する)ことによって、手続きを確実に1つのスキーマとして「身にしみこませる」ということが必要なのではないだろうか。これは、個々の動作をスキーマとして纏め上げるだけでなく、各スキーマが連なった一連の行動プロセス、スキーマの繋がり自体(いわゆるルールベース)をスキーマとして持っておくことも意味している。



ここで、これらのスキーマ形成(すなわち学習)が円滑に進む、あるいは、ふと意識の介入によってスキーマの発火が止まってしまった場合にも正しくスキーマに再点火できるようにするために、手続きの根本にある基本ポリシーを合わせて教育することが必要であると考えられる。



※あせったり、動転したりしているときには、意識的な状況同定が起こらない(ショートカット)や状況同定が失敗する。そして、長期的視野が失われるため、そのときに発火しやすかったスキーマ(動作スキーマや思考スキーマ)が発火する。イリーガルなスキーマが発火することもある。なお、ここでは「違反・隠蔽」等を促すような、「罰を受けることへの恐れ」「自尊心が損なわれることへの恐れ」等の情緒の発火は含まないこととする。

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