2011年5月11日水曜日

目標管理の効果的運用—管理機能としてのモチベーション—

[タイトル]
目標管理の効果的運用—管理機能としてのモチベーション—

[著者]
中村 悦子、瀬賀 裕子

[掲載]
新潟青陵大学紀要, Vol.7, pp.131-143, 2007.

[アブストラクト]
アメリカの経営学者、ドラッカーによる「目標と自己統制による管理」が1954年に提示され、日本への導入は1960年より始まった。医療機関における目標管理の導入は、多くは看護部門主導で進められ、専門職としての看護職員の自己実現を支援し、組織の目標を達成するという目的で行われた。導入の目的は、(1)職員の意識改革、(2)職場風土の活性化、(3)能力開発、(4)師長と武官のコミュニケーションの促進、(5)働きがいの向上などである。目標管理の導入の実態から、肯定的要因、否定的要因を明らかにすることができた。その結果、看護管理者が、管理機能として職員のモチベーションに関わることの重要性を確認することができた。

[キーワード]
目標管理、モチベーション、看護職員、管理機能、人事考課

[要約・感想]
看護職に対する目標管理における心理プロセス(目標管理によって達成感ややる気が高まる肯定的プロセス、やらされ感が高まる否定的プロセス)を、ヒアリング調査から描いている。モデルはなかなか面白い。
後の考察においては、まあ、一般論を書いている程度。研究というよりは解説・論説といったところか。
目標管理を成功させるための看護師長の役割の中であげている、看護師長に求められている点というのはなかなか興味深い。
(1)目標管理導入の目的を伝える
(2)組織の理念・方針を職員と共有する。
(3)面接技法を身につける
(4)職員に目標を意識させる

個人的には、「目標設定の技術」というのもあるように思う。
曖昧にしか目標をかけない、書こうとしないメンバ。
書類に起こすのを面倒くさがるメンバ。
書類に書き起こすのが苦手なメンバ。(語れるけど、書けない)
そういう部分が結構あるんじゃないだろうか・・・。

最後に、インセンティブに対しては従業員の信頼性と納得性という言葉がでている。
ようするに、適正に評価される仕組みがあるか(適性に評価されるんだ、という期待・信頼が持てるか)と、実際に評価されたと思えるか(納得)が人事考課上のポイントとなっているということだろう。

なお、「働きがい」という言葉で引っかかったのだが、実際には、中村ら自身は「働きがい」という言葉をそれほど大きく取り上げているわけではない。

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