2011年5月16日月曜日

QWLとIE

[タイトル]
QWLとIE

[著者]
八巻 直躬

[掲載]
日本経営工学会誌, Vol. 27, No.3, pp.226-230, 1976.

[アブストラクト]
現在世界の工業化社会で, 組織における「人間疎外」が注目され, 一般に「働く生活の質(Quality of Working Life-QWL)」の問題として研究されている.本稿では, この問題を「生きがい」, 「働きがい」の問題として解説し, IEの立場からの解決のアプローチとして, 新しい職務設計の基本的考え方, 現在試行されている小集団活動, 職務拡大(job enlargement), 職務充実(job enrichment), 自主管理方式について, その内容と限界および今後の課題を概説する.

"Humanization of work" is drawing more and more attention of the industrialized societies of the world today. The problem is discussed under the subject of "Quality of Working Life-QWL." In this paper, the nature of the problem is reviewed from the standpoint of industrial engineering and a new concept of job design is discussed as an approach to the problem. Along with the basic concept of job design, the plans which are currently tried out in Japanese industries; namely, "small group activities, " "job enlargement, " "job enrichment, " and "self-management plan, " are outlined. Their limitations so far experienced and future tasks expected in this area are also discussed.


[キーワード]
働きがい、ハーズバーグ、Quality of Working Life、

[要約・感想]
「働きがい」を経営工学における「労働の人間化」の文脈で、QWL(Quality of Working Life)と結び付けて捉えている。より具体的には、人間は本質的に「自由、創造、成長というよう内在的欲求」などのハーズバーグが述べている動機付け要因への欲求を持っており、これらが満たされることで「生きがい」「働きがい」を感じると述べている。より具体的には、「作業者自身が、作業自体のほかに、自分の仕事の計画、目標の設定、および目標を基準とする統制を行うことによって、仕事の達成感を味わい、働きがいを感じるような仕事の与え方をしなければならない。・・・作業者自身が自分の仕事について、plan-do-seeのサイクルに従うようにすることである。またそれによって、作業者のモラルが向上し、生産性が上がることが期待されるのである」と述べている。これは「働きがい」を目標管理と結びつけて捉えていることを示していると考えられる。
なお、「働きがい」を向上させるための手法として挙げられているものは、当時の論壇の様子を反映して、「小集団活動」「職務拡大」「職務充実」「自主管理方式」を挙げている。ただ、これらの中での論説では、今でも当てはまるようなものもあると思う。
(1)小集団活動では、作業者同士の「グループ討議」が行われる。
(2)小集団活動では、グループ間の活動や成果に格段の差が見られる。活発なグループの中でも、形式的、消極的に参加しているに過ぎない人が散見される。といって、その人々を除外することは、人事管理上いろいろな問題の根源になる。
(3)最近多くなったパートタイマーなどには、職務拡大や、職務充実による挑戦に立ち向かって、働きがいを感じようとする気風は少ない。

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