2011年6月10日金曜日

集団アイデンティティが集団内における迷惑の認知に及ぼす効果—成員性と誇りの機能的差異に着目して—

[タイトル]
集団アイデンティティが集団内における迷惑の認知に及ぼす効果—成員性と誇りの機能的差異に着目して—

[著者]
尾関 美喜, 吉田 俊和

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.49, No.1, pp.32-44, 2009

[アブストラクト]
本研究では、社会的アイデンティティ形成の相互作用モデルに基づいて、集団アイデンティティを個人レベルと集団レベルに分けてとらえるとともに、集団アイデンティティを成員性と誇りの二側面でとらえた。そして、成員性、誇り、成員性の集団内平均が集団内における迷惑更衣の迷惑度認知に及ぼす影響を検討した。HLMによる分析の結果は以下に示すとおりであった。1)規範などによって抑制可能である集団活動に影響を及ぼす迷惑行為については、成員性の強い成員ほど迷惑度を高く認知した。2)集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為については、成員性の集団内平均が高い集団では、誇りの個人差に起因する迷惑認知の差は見られなかった。3)成員性の集団内平均が低い集団では、誇りの高い成員ほど迷惑度を高く認知していた.


[キーワード]
迷惑行為, 集団アイデンティティ, HLM(階層型線形モデル)

[要約・感想]
・迷惑行為の認知と集団アイデンティティという概念との関係に着目した。
・集団アイデンティティとは、「自分はこの集団の一員だ」という個人の認知であり、その集団に所属することによって得られる社会的評価の認知的側面を含む
・個人レベルで集団アイデンティティが強い成員の行動や考え方は、所属集団の価値観に影響され、集団規範に従うとされる
・ただ、集団アイデンティティには、所属集団の一員としての意識の強さを示す「成員性」と、その集団に所属していることで得られる「誇り」の2側面がある。
・ここで「誇り」とは、その集団に所属することによって得られる社会的評価の認知的側面である。


本研究での仮説
1.成員性の強い成員は、集団活動に影響を及ぼす迷惑行為の迷惑度を高く認知する。
2a.成員性の集団内平均が高い集団では、相対的に誇りの低い成員の方が誇りの高い成員よりも人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の迷惑度を高く認知する。ただし、誇りの高低による迷惑度認知の差は、成員性の集団内平均が低い集団において見られる差よりも小さい。
2b.成員性の集団内平均が低い集団では、相対的に誇りの高い成員の方が誇りの低い成員よりも人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の迷惑度を高く評価する

結果としては、「仮説は支持された」とされている。ただ、それは本当か??2aに関しては、実際には、支持されてないんじゃないか・・・??。

具体的にはどんな行為が集団活動に対する迷惑行為で、どんな行為が人間関係に対する迷惑行為か、が分からないのでなんともいえないが・・・・、使えそうなけんきゅうかな、と思ったんだけど、実はそうでもなかったかな・・・

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