2011年6月21日火曜日

誇りと尊重が集団アイデンティティおよび協力行動に及ぼす影響—医療現場における検討—

[タイトル]
誇りと尊重が集団アイデンティティおよび協力行動に及ぼす影響—医療現場における検討—

[著者]
早瀬 良, 坂田 桐子, 高口 央

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.50, No.2, pp.135--147, 2011.

[アブストラクト]
医療機関では、安全で質の高い医療サービスの提供が求められている。そのためには、医療機関のスタッフが、職種の異なるスタッフと協力することや、自発的に役割外行動に従事することが不可欠である。本研究の目的は、社会的アイデンティティ理論に基づき、看護師が安全で質の高いサービスを提供する心理過程について検討することである。調査対象者は看護職者217名であった。分析の結果、以下のことが示された。(1)自分の職種に誇りを感じることと同僚から尊重されることの両方が職種アイデンティティを増加させ、職種アイデンティティは協力行動を増加させた。(2)また、同僚から尊重されていることは役割外協力行動を増加させた。(3)さらに、職種アイデンティティは職種間協力行動を増加させ、病院アイデンティティは病院への定着意志を増加させた。以上の結果から、安全で質の高いサービスを提供するためには、看護師が職種と病院の両方に同一視することが有益である可能性が示された。

[キーワード]
誇り、尊重、職種アイデンティティ、職種間協力

[要約・感想]
結構面白かった。
一般論として論じている点では、、、
(1)集団アイデンティティは「誇り」と「尊重」の2つによって強化されるとした
(2)「誇り」は「自分が所属する集団に対する外からの評価の認知の感情的反応である」としている。こうすると、「誇り」における評価対象は「所属集団」となる。一方、「尊重」の方は、あくまで自分が所属している集団の中での自分自身に対する評価の認知の感情的反応である」としている。すなわち、「尊重」の評価対象は「自分そのもの」となる。
(3)したがって、「誇り」を強く感じるということは、自身として所属集団を高く評価していることになり、所属集団の特徴を自分と結び付けようとする。したがって、所属集団の規範を遵守し、決められた役割に積極的に取り組む。
(4)一方、「尊重」を強く感じるということは、集団のメンバから自分自身の行動を高く評価されていることを認知することtなり、自分自身の独自性を表現するとともに、集団のために行動するように動機付けられるようになる。すなわち、職務要求に無い内容の行動も自発的に取るようになる。

この内容は非常に腑に落ちる内容。

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