2011年6月21日火曜日

前向きの信頼と後ろ向きの信頼

[タイトル]
前向きの信頼と後ろ向きの信頼

[著者]
中谷内 一也

[掲載]
JR EAST Technical Review No.35-SPRING, pp.1--4, 2011

[アブストラクト]
●●

[キーワード]
信頼 安心 安全 価値 

[要約・感想]
旅客に安心してもらうために必要なことを順次整理している。非常に分かりやすい。
まとめてみると、
(1)「客観的事実として安全である」と「安心できる」は違う。
(2)信頼できなければ安心はない。信頼できれば安心できる。
(3)信頼とは、「相手次第で自分がひどい目に遭うリスクがあるが、そのリスクを負ってでも相手に何かを委ねられる」こと
(4)信頼は非対称性原理が働く。「安全だからといって簡単に事業者への信頼が高まるわけではないのに、逆に、事故が続発して安全実績が損なわれると、信頼はたやすく崩壊する」
(5)信頼を規定する要因には、「相手の能力についての評価」と「相手の動機付けについての評価」の2つがある。どちらが掛けても安心はない。
(6)「相手の動機付けについての評価」はどういうときに高まるか?→2つある。
(7)自発的な監視の受け入れ。自ら積極的に情報の開示を行い、「どうぞ私を監視してください。そしてずさんな業務があればいくらでも制裁してください」という態度を示すこと。
(8)利用者の目線に立って考えること。事業者が自分たちと同じ見方で安全のことを考える、「事故があったら世間から叩かれて困るから」ではなく「利用者の健康や生命を害すること自体を嘆く気持ちを持っている」と利用者に受け止めてもらうこと。そのために「毎日接しているから利用者の気持ちなんて想像がつく」とタカを括らず、系統的に調査する。


利用者の安心←利用者の事業者への信頼←事業者の動機付けの評価

という大きな流れを描いている。
「お客様」という存在への気づき。お客様目線。
組織の中の誰かの仕事を奪うのを避ける、誰かの顔に泥を塗るのを避けるために、お客様に迷惑を掛けることはダメ。
あくまで「自分がなにのために仕事をしているのか」というドラッカーの問いかけへの答えに真摯であることが求められる。

ただ、自分の知り合い・仲間をどこまで切り捨てられるのか、というのは人の中で非常に大きな葛藤なんだろうなぁ・・・

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