2011年9月27日火曜日

第15章 文化、エラー、クルーリソースマネジメント

[タイトル]

第15章 文化、エラー、クルーリソースマネジメント


 [著者]
R.L. Helmreich, J.A. Wilhelm, J.R. Klinect, A.C. Merritt
(監訳:田尾雅夫, 訳:深見真希, 草野千秋)


 [掲載]
危機のマネジメント 事故と安全:チームワークによる克服, pp.255-277, ミネルヴァ書房, 2007.
(IMPROVING TEAMWORK IN ORGANIZATION, 
  Eduardo Salas, Clint A. Bowers and Eleana Edens, 
  Lawrence Erlbaum Associates, Inc., 2001.)


 [アブストラクト]
None


 [キーワード]
スレット&エラー・マネジメント, TEM, クルーリソースマネジメント, CRM


 [要約・感想] 
TEMの概念の解説と国ごとのパイロットの文化的差異の整理。
TEMの概念の原著にちかいのかな?
HelmreichさんはTEMの概念をまとめた親玉らしい。

2011年7月28日木曜日

企業内におけるメンタルヘルス風土に関する研究

[タイトル]
企業内におけるメンタルヘルス風土に関する研究

[著者]
金井 篤子, 若林 満

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.38, No.1, pp.63-79, 1998.

[アブストラクト]
本研究では、企業のメンタルヘルス風土に関する測定尺度が構成され、その規定因と影響について検討が行われた。無記名による質問紙調査が、民間企業に働く男女595人(有効回答率73.0%)を対象に実施された。因子分析の結果、企業のメンタルヘルス風土測度からは3つの因子が抽出され、「メンタルヘルス風土評価」「メンタルヘルス不調不安」「メンタルヘルス理解」と名付けられた。重回帰分析の結果、メンタルヘルス風土評価は企業の取り組み施策によって規定される一方、職務満足度やディストレスに影響を与えていることが明らかとなった。また、メンタルヘルス不調不安、メンタルヘルス理解は創造的組織人行動の下位尺度であるリスク需要に影響を持つことが明らかとなった。これらのことから、良好なメンタルヘルス風土の醸成の重要性が確認され、そのための方策として、メンタルヘルス施策の実施が提案された。

[キーワード]
メンタルヘルス、労務管理施策、組織風土、創造性

[要約・感想]
論文で直接取り上げているテーマと自分のテーマとが微妙に違うのでなんとも・・・なのだが、とりあえず自分の着目した点をまとめると、以下の通り。

職務満足度の尺度構成として
 「やりがい満足」(「自分の能力を生かして何事かなす機会」「じぶんのしごとそのもの」他2項目)
 「仲間満足」(「自分の職場で仕事をやっていく上での仲間との関係」「職場の雰囲気」他1項目)
 「上司満足」(「上司のリーダーシップ」「決定を行う際の上司の有能さ」他1項目)
 「処遇満足(「この会社での昇進の機会」「仕事の程度から見た給与の程度」ほか4項目)
という下位概念を想定した尺度を構成している。

なお、職務満足度とは別に充実感という構成概念を置き、その測定尺度の中で「充実した気分や自分に対する誇り」という尺度を設け、「誇り」という言葉を充実感に関連させて用いている。ここでは、職務満足度ややりがい満足度と充実感を分けている点が興味深い。

調査の結果から、
ストレッサー要因のうち
 役割曖昧性、役割葛藤、仕事質過重
がやりがい満足度に影響を与えるとともに、
メンタルヘルス風土評価(メンタルヘルスを会社として理解する風土があると思うかについての心理的評価)、
メンタルヘルス不調不安(メンタルヘルスに不調をきたしたときに会社員生活を維持できるかの不安)、
メンタルヘルス理解(メンタルヘルスというものについての理解)
もやりがい満足度に影響を与えていることを示唆する結果が得られている。

さらに、役割葛藤とメンタルヘルス理解には交互作用も存在することも示唆されている。

さらに、職務満足の下位尺度の合計を総合満足度とした上で、重回帰分析の結果、
総合満足度は、
役割曖昧性、役割葛藤、会社のメンタルヘルス施策実施度
と負の因果関係があり、
メンタルヘルス風土評価、リスク受容性
と正の因果関係があることが示唆された。

金井らは特に役割曖昧性が創造的問題解決や充実感、やりがい満足などの企業における個人の前向きな行動や感情を大きく阻害しているとし、役割曖昧性がメンタルヘルス風土を検討する上で重要な要素となるとしている。

2011年7月27日水曜日

職務動機づけ向上に関する発達的プロセスの検討

[タイトル]
職務動機づけ向上に関する発達的プロセスの検討

[著者]
戸梶 亜紀彦

[掲載]
感情心理学研究, Vol.17, No.3, pp.231, 2010.

[アブストラクト]
None

[キーワード]
モチベーション、 動機付け、 職務特性 ハックマン&オルダム 

[要約・感想]
社員の動機付けの発達モデルを職務特性理論をベースにしながら構想している。
あくまで構想しているだけで実証はまだまだ。

職務動機付けを高める要因として�職務の意味理解、�職務の達成、�パフォーマンスの評価、�ソーシャル・サポート、�職務の自覚という5つを挙げている。これはなるほどなぁと思う。

大学生が行う対人サービス活動のやりがい感、効力感の低下・向上要因

[タイトル]
大学生が行う対人サービス活動のやりがい感、効力感の低下・向上要因

[著者]
関谷 大輝, 湯川 進太郎

[掲載]
感情心理学研究, Vol.17, No.3, p.228, 2010

[アブストラクト]
None

[キーワード]
感情労働, 情動知能 楽観製

[要約・感想]
「やりがい」で検索をかけた結果でてきた論文。

目的は、「大学生が行うアルバイト、ボランティア、実習の諸活動(対人サービス活動)において、表出すべき感情と本心の齟齬から生じる一種の葛藤である感情的不協和に伴う不快感が活動態度に及ぼす影響をかくにんすること、および、情動知能(EI)および楽観製が活動態度悪化意に対して持つ緩和効果について検討すること」である。

結論は「対人サービス態度に関しては、他者の感情を敵s手うに理解して、自己の行為の指針にする能力に着目する必要があることが明らかになった」

重回帰分析をかけてるんだけど、そもそもR2が低すぎない??有意だといっても、これでは・・・。

経営理念の浸透が顧客と従業員の満足へ及ぼす効果—事例企業調査研究から—

[タイトル]
経営理念の浸透が顧客と従業員の満足へ及ぼす効果—事例企業調査研究から—

[著者]
松葉 博雄

[掲載]
経営行動科学, Vol.21, No.2, pp.89-103, 2008.

[アブストラクト]
The purpose of this research is to verify the management metho based on the concept of Service Profit Chain (SPC) advocated by Heskett et al.(1994, 1997). The proposed hypothesis is "The permeation of the management philosophy is the tool that makes Customer Satisfaction (CS) and Employee Satisfaction (ES) to be compatible". However, the management method based on SPC is a chain of causality, and the primary factors in this chain of causality, especially the primary factor that links CS and ES, were not known to us. In order to verify the hypothesis, I have applyied SPC as the management method in actual management. As a result, it became clear that deep permeation of management philosophy is a factor in making CS and ES compatible. An interesting discovery is that the CS is being detemined almost entirely by human interactions. I discussed the point at issue from five different viewpoints and finally state the solution.

[キーワード]
Service Profit Chain, customer satisfaction, employee satisfaction, management philosophy

[要約・感想]
「CSとESが両輪となって、相互に結びついている」というモデルについて、「CSとESを結び付けているのは企業理念である」とする仮説を立てて検証している。

ただ、ここでのポイントは企業理念が「CSをESによる良循環経営」というものをである点。
なのでこの研究は、ようするに、そもそもそういうことを志向する企業文化を創りたいという意識があるなかで、本当にCSとESが「企業理念の浸透」という要素を軸にして結びついているのか確認しているというもの。
なので、あくまでそういうことを企業理念に掲げている点がポイント。一般化は難しいだろう。

結果としては、経営理念の浸透度がCSとESを両立させている要因であることが確認された。

FW: 組織市民行動—測定尺度、類似概念、関連概念、および規定要因について—

追記 
従業員のポジティブな気分も組織市民行動に結びつくことがいくつかの研究で報告されているらしい。
気分一致効果?

-----Original Message-----
From: 藤野 秀則
Sent: Wednesday, July 27, 2011 1:42 PM
To: '論文DB'
Subject: 組織市民行動—測定尺度、類似概念、関連概念、および規定要因について—

[タイトル]
組織市民行動—測定尺度、類似概念、関連概念、および規定要因について—

[著者]
田中 堅一郎

[掲載]
経営行動科学, Vol.15, No.1, pp.1-28, 2001.

[アブストラクト]
The purpose of the present study was to review the studies on the measurements of organizational citizenship behavior (OCB), determinants of them, the similar and the related concepts of OCB. Several major definitions of OCB were indicated and compared with similar concept (i.e., prosocial organizational behavior, organizational spontaneity, extra-role behavior, contextual performance), and related concept, i.e., whistle blowing, organizational retaliatory behavior. The author commented on the various OCB scales used in the previous studies, e.g., Smith et al. (1983) and Podsakoff, et al. (1990). Factors affected on OCB were examined: organizational justice (procedural justice, interactional justice, distributive justice), supervisor's leadership, job satisfaction, organizational support, organizational commitment, mood in workplace, personality factors, and demographic factors, and the reasons people performed OCB were examined. Finally, the future direction of sudies on OCB was discussed.

[キーワード]
組織市民行動, 組織コミットメント

[要約・感想]
組織市民行動についてのレビュー論文。
参考になる点がちらほら。読みながら考えた点をいくつか書き出すと・・・

1.「組織市民行動とは何か」という問いに対しての既存研究の答えの問題点として、「本人たちがどう捉えているか」という点が考慮されておらず、「役割内外」という議論を「外から見て(職務規定から見て)外か内か」という点で議論している点をあげている。たとえ職務規定になくても、当人たちが役割内と思っていればどうするのか?という点に課題がある。

2.組織市民行動の構成概念(定義に基づく組織市民行動は、さらにその中でどのような行動に分かれるのか)に関して、Organの構成概念にあるスポーツマンシップが面白い。内容として挙げられているのは「不満を言わない、ささいな苦情を口にしない、無礼に対する不平を言わない、そしてつまらないことを裁判沙汰にしない」。これは、まさに高校13年生的風土(の裏返し)!

3.組織市民行動はあくまで「行動」という点がポイント。例えば、「部外者が組織を批判していたらそれに反論する」はあくまで行動であり組織市民行動(忠誠行動)。一方で「部外者が組織を批判していたら嫌な気持ちなる・反論したいと思う」だとこれはあくまで心の中の動きであり組織コミットメントや集団アイデンティティとなる。ここで大きな問題。行動と心の関係。心の動きがあったからといって行動がなければそれはどうなのか?逆に行動があるからといってその人はコミットメントが強いといえるのか?
→実際に論文の中でも指摘があった。
「組織市民行動が組織に対する「行動」の概念であるとすれば、組織コミットメントは組織に対する「態度」の概念であるといえるかもしれない」

4.「組織市民行動が態度概念というよりも行動レベルの概念であるので、組織市民行動は組織内の自分以外のメンバーに「彼は積極的に行動する」などと認知されてはじめて組織市民行動としての意味を持つ」⇒ここポイント。計測する上では主観評価だけでなく客観評価も必要だということ。

5.アメリカ、オーストラリア、日本、中国を比較した研究から、日本・中国ではアメリカ・オーストラリアと異なり、「礼儀正しさ」は職務としてすべきことという認識。このことから、著者は、「日本企業では従業員が長い期間勤務すればするほど、彼らの自社に対する忠誠心や「愛社精神」が育まれて、個々の従業員が組織への自発的な貢献が仕事の一部のように見なされていくことをも示唆している」と結論している。

組織市民行動—測定尺度、類似概念、関連概念、および規定要因について—

[タイトル]
組織市民行動—測定尺度、類似概念、関連概念、および規定要因について—

[著者]
田中 堅一郎

[掲載]
経営行動科学, Vol.15, No.1, pp.1-28, 2001.

[アブストラクト]
The purpose of the present study was to review the studies on the measurements of organizational citizenship behavior (OCB), determinants of them, the similar and the related concepts of OCB. Several major definitions of OCB were indicated and compared with similar concept (i.e., prosocial organizational behavior, organizational spontaneity, extra-role behavior, contextual performance), and related concept, i.e., whistle blowing, organizational retaliatory behavior. The author commented on the various OCB scales used in the previous studies, e.g., Smith et al. (1983) and Podsakoff, et al. (1990). Factors affected on OCB were examined: organizational justice (procedural justice, interactional justice, distributive justice), supervisor's leadership, job satisfaction, organizational support, organizational commitment, mood in workplace, personality factors, and demographic factors, and the reasons people performed OCB were examined. Finally, the future direction of sudies on OCB was discussed.

[キーワード]
組織市民行動, 組織コミットメント

[要約・感想]
組織市民行動についてのレビュー論文。
参考になる点がちらほら。読みながら考えた点をいくつか書き出すと・・・

1.「組織市民行動とは何か」という問いに対しての既存研究の答えの問題点として、「本人たちがどう捉えているか」という点が考慮されておらず、「役割内外」という議論を「外から見て(職務規定から見て)外か内か」という点で議論している点をあげている。たとえ職務規定になくても、当人たちが役割内と思っていればどうするのか?という点に課題がある。

2.組織市民行動の構成概念(定義に基づく組織市民行動は、さらにその中でどのような行動に分かれるのか)に関して、Organの構成概念にあるスポーツマンシップが面白い。内容として挙げられているのは「不満を言わない、ささいな苦情を口にしない、無礼に対する不平を言わない、そしてつまらないことを裁判沙汰にしない」。これは、まさに高校13年生的風土(の裏返し)!

3.組織市民行動はあくまで「行動」という点がポイント。例えば、「部外者が組織を批判していたらそれに反論する」はあくまで行動であり組織市民行動(忠誠行動)。一方で「部外者が組織を批判していたら嫌な気持ちなる・反論したいと思う」だとこれはあくまで心の中の動きであり組織コミットメントや集団アイデンティティとなる。ここで大きな問題。行動と心の関係。心の動きがあったからといって行動がなければそれはどうなのか?逆に行動があるからといってその人はコミットメントが強いといえるのか?
→実際に論文の中でも指摘があった。
「組織市民行動が組織に対する「行動」の概念であるとすれば、組織コミットメントは組織に対する「態度」の概念であるといえるかもしれない」

4.「組織市民行動が態度概念というよりも行動レベルの概念であるので、組織市民行動は組織内の自分以外のメンバーに「彼は積極的に行動する」などと認知されてはじめて組織市民行動としての意味を持つ」⇒ここポイント。計測する上では主観評価だけでなく客観評価も必要だということ。

5.アメリカ、オーストラリア、日本、中国を比較した研究から、日本・中国ではアメリカ・オーストラリアと異なり、「礼儀正しさ」は職務としてすべきことという認識。このことから、著者は、「日本企業では従業員が長い期間勤務すればするほど、彼らの自社に対する忠誠心や「愛社精神」が育まれて、個々の従業員が組織への自発的な貢献が仕事の一部のように見なされていくことをも示唆している」と結論している。