[タイトル]
The Influence of Positive Affect on Intrinsic and Extrinsic Motivation: Facilitating Enjoyment of Play, Responsible Work Behavior, and Self Control
[著者]
Alice M. Isen, Johnmarshall Reeve
[掲載]
Motivation and Emotion, Vol.29, No.4, pp.297- 325, 2005
[アブストラクト]
Two experiments demonstrated that positive affect fosters intrinsic motivation, as reflected by choice of activity in a free-choice situation and by rated amount of enjoyment of a novel and challenging task, but also promotes responsible work behavior in a situation where the work needs to be done. Where there was work that needed to be done, people in the positive-affect condition reduced their time on the enjoyable task, successfully completed tha work task, but also spent time on the more enjoyable task. These results indicate that positive affect dose foster intrinsic motivation and enjoyment and performance of enjoyable tasks, but not at the cost of responsible work behavior on an uniteresting task that needs to be done. Implications for the relationship between positive affect and such aspects of self-regulation as forward-looking thinking and self-control are discussed.
[キーワード]
ポジティブ感情 内発的動機付け 外発的動機付け 自己統制 先を見越した行動
positive affect Intrinsice motivation Extrinsic motivation Self-control forward-looking
[要約・感想]
ポジティブ感情が内発的動機付けと外発的動機付けにどういう影響を与えるか。
結構詳しく実験について書いてくれていた。
びっくりするのが(前のこの人の論文でもそうだったけど)
ポジティブ感情の喚起の仕方が、
飴玉とチョコレートのキャンディのどちらが魅力的(Attractive)かを選択させたあと、
「好きな方をあげるよ」といってもう一度選ばせてプレゼントする、という方法。
(ただし、「今は食べないでね」という教示)
一方、ニュートラル感情の方は、
飴玉とチョコレートのキャンディのどちらが魅力的(Attractive)かを選択させるだけ。
やらせた作業は
内発的動機付けのタスクは、3次元キューブパズル(要するにキュービックキューブ?)
外発的動機付けのタスクは、6文字からなるアルファベットの綴りについて、その6文字がアルファベット順に並んだものかどうかをチェックする、というもの。
ただし、外発的動機付けのタスクへの条件付けの内容は2つの実験によって違っていて、
実験1では、外発的動機付けの条件として、自由選択の中で「すべて見つけられたら2ドルあげる」、という条件付けをした。
実験2では、「ある部分(最初の2ページ)まではしなければならない」というより強いメッセージを与えた。
結果に対する解釈の仕方は色々とあるだろうが、
とりあえず、彼らが主張したい点はここに集約されている。
"We have argued in this paper that positive affect promote self-control and forward-looking functioninng. But now we can also see that positive affect influences not only intrinsic motivation and enjoyment, but also attention to extrinsic considerations and responsibilities as well, and this kind of demonstration of self-control while increasing enjoyment, may contribute to understanding the processes that underlie self-control and forward looking orientation."
(本論文では、ポジティブ感情が自己統制や先読み行動を促進することを示した。しかし、それだけでなく以下のことも観察できた。すなわち、ポジティブ感情は内発的動機付けやそのタスクへの楽しさを増進させるだけでなく、外発的なタスクに対する思考や責任意識についても増進させることができる。楽しさの増進に加えて自己統制についてのこの種のデモンストレーションは、自己統制や先読み姿勢の機序の理解につながることだろう。)
とりあえず、ポジティブ感情は、その状況でのモチベーション(内発・外発両方ともの)の向上につながるようだ。
わからなくはない。というか、内発・外発という2分法によるモチベーションだけでなく、その根底に、状況そのものに対しするモチベーションもあるのではないか。そのモチベーションがあれば、その状況における内発的・外発的のいずれのモチベーションも高まるということではないだろうか。気分一致効果というか・・・。
2011年7月19日火曜日
2011年7月15日金曜日
「自尊感情」を関係性からとらえ直す
[タイトル]
「自尊感情」を関係性からとらえ直す
[著者]
遠藤 由美
[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.39, No.2, pp.150-167, 1999
[アブストラクト]
自尊感情は心rに学におけるもっとも重要な概念の一つでありながら、これまで自尊感情とは何かという議論はあまり行われてこなかった。本稿では、これまで明示的に示されることがほとんどなかった自尊感情に関する従来の考え方を探り、伝統的な「自己」が現実世界の社会的状況や人間関係性から切り離されすぎていたという問題点を指摘した。次に、最近提唱されつつある自尊感情への生態学的・対人的視点をとったアプローチを紹介し、これまで整合性のある説明を与えられなかった点について、新たな観点から議論した、最後に今後の研究課題と意義を提唱した。
[キーワード]
自尊感情の概念、関係性、対人的視点、文化、社会
[要約・感想]
非常に興味深く読めた論文。
自尊感情がこれまで頻繁に論文で取り上げられながら、その概念がどのようなものなのかの明確な議論がこれまでなされていなかった。
従来の自尊感情の捉え方は「安定的統合的自己」観に基づいたもの。
論文の中にある記述を引用すると、
「自分の内側にさまざまな望ましい属性がある場合、それを自分自身で自覚的にとらえ評価した結果、「私は価値ある人間だ」という安定的な自尊感情が自己の内側に生じる」
この考え方の根本にあるのは、
心理学のセントラル・ドグマ、すなわち、「自分のことは自分が一番よくしっている」や、社会環境、文化なども自己を構成する「要因」(相互作用する、ではない!)として中心には「自己」があるとする捉え方がある。
「我々人間に課せられた課題は真の自己を発見し、それを伸びやかな形で外に発現させることであるから、自分の目に自分自身の姿ができるがで隈なく薄し出されるようにすることがd重要であり、そうすれば自分があるべき姿からどれほどズレているかを把握でき、自分の行動を制御することによってずれを是正して適応的に生きられる」とうする意識的自己完結的自己理解の仕方。
→プロテスタンティズムが背景にあるのか?達成することを至高体験と表現する考え方。献身的であることを望ましいとする考え方。
一方で、この論文で筆者が主張するのは、
自尊感情はあくまで社会・文化との相互関係の中で生じてくるもの。
端的に表している記述が、
「自尊感情が高いということは、それぞれの状況において望ましいとされることを自分が実現でき、自己と周囲の世界との間に適切な関係を持っていると思うことできること」
ここでは「それぞれの状況」という言葉がポイント。
これによって
「その人がどのように世界を見ているのか<->環境がどのような情報をその人に示しているのか」
によって「望ましいこと」のその人の中での基準が変わるし、それによって自尊感情も変わる。
この感情を進化論的にも考察している。
「社会集団からの排除の危険性をより低減したいという動機」が人に存在している。このことから「(帰属したいとその人がおもっている)社会で信奉されちえる価値を実現しているとみなされ、「有効な人間だ」と人々から認められる集合的営為的過程によって、周囲の世界の中に適切な位置を確保し続け、関係性を維持したい、という動機」が生まれ、そこから自尊感情が生じている。
あくまで一般論としての自尊感情。
ただ、ここから勝手に考えを進めると、
ある社会の中で自尊感情をもてないときには、
1.その社会がその人にとってあくまで「帰属したい組織」「帰属しなければならない組織」という信念が強い場合、自尊感情がもてないことが個人の要因に帰着されてしまい、不適応状態・ストレス状態、いわゆる自信喪失状態につながる。
2.その社会がその人にとってあくまで「帰属したい組織」「帰属しなければならない組織」という信念がそこまで強いものでない場合には、その組織に対する遠心力が働く。すなわち、その組織とは異なる、自尊感情を保てる組織に対して帰属しようとする。
結局、自尊感情とは関係性、有能性というものと結びついた感情ということか。
なにをもって有能とするかは、関係性によって決まる。行き着く先はすべて関係性、社会・文化によって決まる。
「自尊感情」を関係性からとらえ直す
[著者]
遠藤 由美
[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.39, No.2, pp.150-167, 1999
[アブストラクト]
自尊感情は心rに学におけるもっとも重要な概念の一つでありながら、これまで自尊感情とは何かという議論はあまり行われてこなかった。本稿では、これまで明示的に示されることがほとんどなかった自尊感情に関する従来の考え方を探り、伝統的な「自己」が現実世界の社会的状況や人間関係性から切り離されすぎていたという問題点を指摘した。次に、最近提唱されつつある自尊感情への生態学的・対人的視点をとったアプローチを紹介し、これまで整合性のある説明を与えられなかった点について、新たな観点から議論した、最後に今後の研究課題と意義を提唱した。
[キーワード]
自尊感情の概念、関係性、対人的視点、文化、社会
[要約・感想]
非常に興味深く読めた論文。
自尊感情がこれまで頻繁に論文で取り上げられながら、その概念がどのようなものなのかの明確な議論がこれまでなされていなかった。
従来の自尊感情の捉え方は「安定的統合的自己」観に基づいたもの。
論文の中にある記述を引用すると、
「自分の内側にさまざまな望ましい属性がある場合、それを自分自身で自覚的にとらえ評価した結果、「私は価値ある人間だ」という安定的な自尊感情が自己の内側に生じる」
この考え方の根本にあるのは、
心理学のセントラル・ドグマ、すなわち、「自分のことは自分が一番よくしっている」や、社会環境、文化なども自己を構成する「要因」(相互作用する、ではない!)として中心には「自己」があるとする捉え方がある。
「我々人間に課せられた課題は真の自己を発見し、それを伸びやかな形で外に発現させることであるから、自分の目に自分自身の姿ができるがで隈なく薄し出されるようにすることがd重要であり、そうすれば自分があるべき姿からどれほどズレているかを把握でき、自分の行動を制御することによってずれを是正して適応的に生きられる」とうする意識的自己完結的自己理解の仕方。
→プロテスタンティズムが背景にあるのか?達成することを至高体験と表現する考え方。献身的であることを望ましいとする考え方。
一方で、この論文で筆者が主張するのは、
自尊感情はあくまで社会・文化との相互関係の中で生じてくるもの。
端的に表している記述が、
「自尊感情が高いということは、それぞれの状況において望ましいとされることを自分が実現でき、自己と周囲の世界との間に適切な関係を持っていると思うことできること」
ここでは「それぞれの状況」という言葉がポイント。
これによって
「その人がどのように世界を見ているのか<->環境がどのような情報をその人に示しているのか」
によって「望ましいこと」のその人の中での基準が変わるし、それによって自尊感情も変わる。
この感情を進化論的にも考察している。
「社会集団からの排除の危険性をより低減したいという動機」が人に存在している。このことから「(帰属したいとその人がおもっている)社会で信奉されちえる価値を実現しているとみなされ、「有効な人間だ」と人々から認められる集合的営為的過程によって、周囲の世界の中に適切な位置を確保し続け、関係性を維持したい、という動機」が生まれ、そこから自尊感情が生じている。
あくまで一般論としての自尊感情。
ただ、ここから勝手に考えを進めると、
ある社会の中で自尊感情をもてないときには、
1.その社会がその人にとってあくまで「帰属したい組織」「帰属しなければならない組織」という信念が強い場合、自尊感情がもてないことが個人の要因に帰着されてしまい、不適応状態・ストレス状態、いわゆる自信喪失状態につながる。
2.その社会がその人にとってあくまで「帰属したい組織」「帰属しなければならない組織」という信念がそこまで強いものでない場合には、その組織に対する遠心力が働く。すなわち、その組織とは異なる、自尊感情を保てる組織に対して帰属しようとする。
結局、自尊感情とは関係性、有能性というものと結びついた感情ということか。
なにをもって有能とするかは、関係性によって決まる。行き着く先はすべて関係性、社会・文化によって決まる。
2011年7月14日木曜日
社会的スキルとしての対人コミュニケーション認知メカニズムの検討
[タイトル]
社会的スキルとしての対人コミュニケーション認知メカニズムの検討
[著者]
木村 昌紀, 大坊 郁夫, 余語 真夫
[掲載]
社会心理学研究, Vol.26, No.1, pp.13-24, 2010.
[アブストラクト]
We placed observers' interpersonal communication-coginiton as a social skill and investigated the mechanism behind it. From the result of Study 1, although ability in face-to-face approaches influenced the accuracy of an observer's judgment of interpersonal communication in highly expensive conversations that were easy to judge, this did not occur in low-expressive conversations that were difficult to judge, suggesting a relationship between the two. In addition, to examine clues for improvement in accuracy, we conducted a lens model analysis in Study 1. Interactants' judgments about conversations were positively correlated to speeches and negatively correlated to adaptes, while those of observers were positively correlated to speeches, gestures, and smiles, resulting in asynmetry of interpersonal communitcation-cognition between interactants and observers. In Study 2, a series of observational experiments showed the possiblity of improvement in accuracy by skill training. These results suggested the validity of the placement of observers' interpersonal communication-cognition as a social skill and helped to explain some part of its mechanism.
[キーワード]
対人コミュニケーション、行為者と観察者、社会的スキル
[要約・感想]
観察者の立場から他人同士のコミュニケーションを眺めることによって、どのようにそれを認知して、それらから周囲の人間関係についてのどのような認知を得るのか。
「(広義の)情報環境に囲まれた人」を考える上では、こういう傍観者として情報をえるプロセスも当然あるだろう。そこに注目したい。
○研究の動機
第3者として、他者のコミュニケーションを見たときの、そのコミュニケーションの良し悪しの評価と、当事者同士のコミュニケーションの評価は食い違いやすい。
対人関係を円滑にして、集団生活を快適に営むためには、その食い違いは小さい方が望ましい。
そこで、この食い違いを改善できるのか、改善方法はどんなことかを研究を通して検討する。
○結論
要するに、
第3者として他者のコミュニケーションを見たときの、そのコミュニケーションがよいものだったかどうかの評価は、笑顔、発話、ジェスチャーに依存する。
一方で当事者による評価では、発話とアダプター(間を持たせるためのしぐさ)に依存する。
よいかどうかの評価をする能力は社会的スキルである。対人交渉能力との関連性はあるようだが、別個のスキルのようである。
このスキルは練習次第で向上もさせられる。
・・・
対人関係のルールや対人コミュニケーションに関するヒューマンファクタの知識を持っている人は、対面交渉能力が高いといわれるが、これらを持っている人は観察者としてのスキルも高いだろう、という予想。これについては、予想自体は納得がいくが、今回の調査結果からはわからないということ。さてどうなのだろう・・・
とりあえず、感じたのは、
なんでこのことに着目したのか?実社会でのどんなことに役立つと彼らは思っているのか、そこのところがよく分からない。今回の基礎研究から実社会における問題解決までのパスがあまりにかけ離れている気がする・・・。
社会的スキルとしての対人コミュニケーション認知メカニズムの検討
[著者]
木村 昌紀, 大坊 郁夫, 余語 真夫
[掲載]
社会心理学研究, Vol.26, No.1, pp.13-24, 2010.
[アブストラクト]
We placed observers' interpersonal communication-coginiton as a social skill and investigated the mechanism behind it. From the result of Study 1, although ability in face-to-face approaches influenced the accuracy of an observer's judgment of interpersonal communication in highly expensive conversations that were easy to judge, this did not occur in low-expressive conversations that were difficult to judge, suggesting a relationship between the two. In addition, to examine clues for improvement in accuracy, we conducted a lens model analysis in Study 1. Interactants' judgments about conversations were positively correlated to speeches and negatively correlated to adaptes, while those of observers were positively correlated to speeches, gestures, and smiles, resulting in asynmetry of interpersonal communitcation-cognition between interactants and observers. In Study 2, a series of observational experiments showed the possiblity of improvement in accuracy by skill training. These results suggested the validity of the placement of observers' interpersonal communication-cognition as a social skill and helped to explain some part of its mechanism.
[キーワード]
対人コミュニケーション、行為者と観察者、社会的スキル
[要約・感想]
観察者の立場から他人同士のコミュニケーションを眺めることによって、どのようにそれを認知して、それらから周囲の人間関係についてのどのような認知を得るのか。
「(広義の)情報環境に囲まれた人」を考える上では、こういう傍観者として情報をえるプロセスも当然あるだろう。そこに注目したい。
○研究の動機
第3者として、他者のコミュニケーションを見たときの、そのコミュニケーションの良し悪しの評価と、当事者同士のコミュニケーションの評価は食い違いやすい。
対人関係を円滑にして、集団生活を快適に営むためには、その食い違いは小さい方が望ましい。
そこで、この食い違いを改善できるのか、改善方法はどんなことかを研究を通して検討する。
○結論
要するに、
第3者として他者のコミュニケーションを見たときの、そのコミュニケーションがよいものだったかどうかの評価は、笑顔、発話、ジェスチャーに依存する。
一方で当事者による評価では、発話とアダプター(間を持たせるためのしぐさ)に依存する。
よいかどうかの評価をする能力は社会的スキルである。対人交渉能力との関連性はあるようだが、別個のスキルのようである。
このスキルは練習次第で向上もさせられる。
・・・
対人関係のルールや対人コミュニケーションに関するヒューマンファクタの知識を持っている人は、対面交渉能力が高いといわれるが、これらを持っている人は観察者としてのスキルも高いだろう、という予想。これについては、予想自体は納得がいくが、今回の調査結果からはわからないということ。さてどうなのだろう・・・
とりあえず、感じたのは、
なんでこのことに着目したのか?実社会でのどんなことに役立つと彼らは思っているのか、そこのところがよく分からない。今回の基礎研究から実社会における問題解決までのパスがあまりにかけ離れている気がする・・・。
組織におけるエモーション—組織行動論に「まるごとの人間」を取り戻す—
[タイトル]
組織におけるエモーション—組織行動論に「まるごとの人間」を取り戻す—
[著者]
金井 壽宏
[掲載]
経営行動科学学会第1回年次大会発表論文集, pp.33-34, 1998.
[アブストラクト]
[キーワード]
エモーション、態度、
[要約・感想]
非常に短い資料なので、なんともだが、なんとなく金井先生が、組織経営において、もっと人間的な「感情」というものを汲み取った経営のあり方が必要なのではないか、ということを考えているんだな、ということがわかる。
組織におけるエモーション—組織行動論に「まるごとの人間」を取り戻す—
[著者]
金井 壽宏
[掲載]
経営行動科学学会第1回年次大会発表論文集, pp.33-34, 1998.
[アブストラクト]
[キーワード]
エモーション、態度、
[要約・感想]
非常に短い資料なので、なんともだが、なんとなく金井先生が、組織経営において、もっと人間的な「感情」というものを汲み取った経営のあり方が必要なのではないか、ということを考えているんだな、ということがわかる。
被職業スティグマ意識と対処方略
[タイトル]
被職業スティグマ意識と対処方略
[著者]
上瀬 由美子, 堀 洋元, 岡本 浩一
[掲載]
社会心理学研究, Vol.26, No.1, pp.25-35, 2010.
[アブストラクト]
The present research investigated relations between percieved occupational stigma and their attributes, the coping strategies of those affected by occupational stigma, and the effects of perceived stigma on global and occupatinal self-esteem mediated by coping strategies. Data from 501 erspondents, a representative set of data stratified by age and gender, showd that (a) approximately 10% of the respondents perceived themselves as occupationally stigmatized, (b) low-income men, especially young or contigent workers, were apt to show awareness of their occupational stigma, (c) five coping strategies in particular (Re-evaluation, Group identification, Social comparison, Attribution of discrimination, and Disengagement) were common, (d) group identification positively enhanced occupational self-esteem in persons who perceived occupational stigma strongly. Lastly, the characteristics of the coping strategies and issues for further research were discussed.
[キーワード]
職業スティグマ, 被職業スティグマ意識, 自尊心, 対処法略
[要約・感想]
スティグマ
・・・人々(自分)の社会的価値を低下させる望ましくない属性。
職業スティグマ(Occupational Stigma)
・・・社会的価値を低下させる望ましくない属性のうち、特に現在その人がついている職業に関するもの。
被職業スティグマ意識(Perceived occupational stigma)
・・・自らの職業にスティグマが付与されていると感じ、そのことによって職業に関連して自らの価値が社会的に低められていると感じている意識のこと。
○研究を通じて全体としてわかったこと。
・まず手続きについて
被職業スティグマ意識は「ステレオタイプ脅威」と「スティグマ自覚」の2つの因子で測ろうとしたが、この2つの因子は因子分析でも抽出された。
ステレオタイプ脅威とは、自分の就いている職業についてステレオタイプが存在していて、それに基づいて自分の社会的評価がなされるのではないか、という不安・怖れ。
スティグマ自覚とは、実際にそのような評価がなされたという自覚。
・被職業スティグマ意識の高低を分けるために、この二つの尺度を用いてクラスタ分析をかけた。その結果、3つのグループに分かれた。さらに、この三つのグループの上記の2つの尺度に関しての分散分析から、両方の尺度とも、3つの群の主効果が有意であり、高低の傾向も両方の尺度で同じであった。このことから、このクラスタ分析にしたがって、被職業スティグマ意識の高低群を分けた。
・対処法略では、「(社会的)価値付け」「集団同一視」「社会的比較」「差別への帰属」「脱同一視」という5つの対処方略が抽出された。
・対処法略と被職業スティグマ意識の高低とで分析をかけると、被スティグマ意識が高いと、、「(社会的)価値付け」「集団同一視」「社会的比較」「脱同一視」が有意に高くなる。
一方で、全体的自尊心、職業的自尊心を比べると、被職業スティグマ意識が高い群は低い群に比べ、有意に低い。
・パス解析からは、
→スティグマ自覚は職業的自尊心を低下させる。
→ステレオタイプ脅威は集団同一視を導き、集団同一視は職業的自尊心を導く。
・特に集団同一視に関わるパスから、他のスティグマへの対処法略と同様に、職業スティグマについても、集団のほかの成員と結びつきを強め、類似の職業に就く者と自分を同一視する方略が、ストレスフルな状況の対処に有効であることを示している。→要するに、同じ職業に就く人たちの「村」ができる。
なお、ここでの集団とは、「所属集団」ではなく「帰属集団」である。
・なんとなくと思うのは、個々で取り上げている対処法略というのは、態度であって、これらの態度の形成が、意図的に行われたのか、あるいは無意識的であっても、スティグマをうけたことによって促進されたことなのかはわからない。実際に論文でもそう指摘されている。
・スティグマ自覚やステレオタイプ脅威が高いと「価値付け」が高くなる、というのは不思議。認知的不協和??
・なんとなく、「価値付け」と「自尊心」がどういう関係にあるのかは興味がある。
***
なんとなく、「ステレオタイプ」というのがすごく会社を覆っている気がする。いや、会社だけではなく、社会全体でもそうだな。。。
ステレオタイプは、働きがいや誇りという概念と関連性を持った概念だとは思うな。
被職業スティグマ意識と対処方略
[著者]
上瀬 由美子, 堀 洋元, 岡本 浩一
[掲載]
社会心理学研究, Vol.26, No.1, pp.25-35, 2010.
[アブストラクト]
The present research investigated relations between percieved occupational stigma and their attributes, the coping strategies of those affected by occupational stigma, and the effects of perceived stigma on global and occupatinal self-esteem mediated by coping strategies. Data from 501 erspondents, a representative set of data stratified by age and gender, showd that (a) approximately 10% of the respondents perceived themselves as occupationally stigmatized, (b) low-income men, especially young or contigent workers, were apt to show awareness of their occupational stigma, (c) five coping strategies in particular (Re-evaluation, Group identification, Social comparison, Attribution of discrimination, and Disengagement) were common, (d) group identification positively enhanced occupational self-esteem in persons who perceived occupational stigma strongly. Lastly, the characteristics of the coping strategies and issues for further research were discussed.
[キーワード]
職業スティグマ, 被職業スティグマ意識, 自尊心, 対処法略
[要約・感想]
スティグマ
・・・人々(自分)の社会的価値を低下させる望ましくない属性。
職業スティグマ(Occupational Stigma)
・・・社会的価値を低下させる望ましくない属性のうち、特に現在その人がついている職業に関するもの。
被職業スティグマ意識(Perceived occupational stigma)
・・・自らの職業にスティグマが付与されていると感じ、そのことによって職業に関連して自らの価値が社会的に低められていると感じている意識のこと。
○研究を通じて全体としてわかったこと。
・まず手続きについて
被職業スティグマ意識は「ステレオタイプ脅威」と「スティグマ自覚」の2つの因子で測ろうとしたが、この2つの因子は因子分析でも抽出された。
ステレオタイプ脅威とは、自分の就いている職業についてステレオタイプが存在していて、それに基づいて自分の社会的評価がなされるのではないか、という不安・怖れ。
スティグマ自覚とは、実際にそのような評価がなされたという自覚。
・被職業スティグマ意識の高低を分けるために、この二つの尺度を用いてクラスタ分析をかけた。その結果、3つのグループに分かれた。さらに、この三つのグループの上記の2つの尺度に関しての分散分析から、両方の尺度とも、3つの群の主効果が有意であり、高低の傾向も両方の尺度で同じであった。このことから、このクラスタ分析にしたがって、被職業スティグマ意識の高低群を分けた。
・対処法略では、「(社会的)価値付け」「集団同一視」「社会的比較」「差別への帰属」「脱同一視」という5つの対処方略が抽出された。
・対処法略と被職業スティグマ意識の高低とで分析をかけると、被スティグマ意識が高いと、、「(社会的)価値付け」「集団同一視」「社会的比較」「脱同一視」が有意に高くなる。
一方で、全体的自尊心、職業的自尊心を比べると、被職業スティグマ意識が高い群は低い群に比べ、有意に低い。
・パス解析からは、
→スティグマ自覚は職業的自尊心を低下させる。
→ステレオタイプ脅威は集団同一視を導き、集団同一視は職業的自尊心を導く。
・特に集団同一視に関わるパスから、他のスティグマへの対処法略と同様に、職業スティグマについても、集団のほかの成員と結びつきを強め、類似の職業に就く者と自分を同一視する方略が、ストレスフルな状況の対処に有効であることを示している。→要するに、同じ職業に就く人たちの「村」ができる。
なお、ここでの集団とは、「所属集団」ではなく「帰属集団」である。
・なんとなくと思うのは、個々で取り上げている対処法略というのは、態度であって、これらの態度の形成が、意図的に行われたのか、あるいは無意識的であっても、スティグマをうけたことによって促進されたことなのかはわからない。実際に論文でもそう指摘されている。
・スティグマ自覚やステレオタイプ脅威が高いと「価値付け」が高くなる、というのは不思議。認知的不協和??
・なんとなく、「価値付け」と「自尊心」がどういう関係にあるのかは興味がある。
***
なんとなく、「ステレオタイプ」というのがすごく会社を覆っている気がする。いや、会社だけではなく、社会全体でもそうだな。。。
ステレオタイプは、働きがいや誇りという概念と関連性を持った概念だとは思うな。
2011年7月13日水曜日
「誇り」の動機づけ機能と認知過程への影響—帰属意識と誇りの比較研究—
[タイトル]
「誇り」の動機づけ機能と認知過程への影響—帰属意識と誇りの比較研究—
[著者]
平田 謙次, 八原 忠彦
[掲載]
経営行動科学学会第2回年次大会発表論文集, pp.128-135, 1999
[アブストラクト]
誇りを持ちながら仕事できることは、個人と組織の双方にとって重要なことである。帰属意識が薄らぐなかで、現代のビジネスパーソンがどの程度「誇り」を持ちえているのかについて、質問紙調査(n=705)を行った。統計解析により、誇りの持つ動機づけとしての機能をしめすとともに、「誇り」と「帰属意識」を分類することを通して、その動機づき認知過程への影響を明らかにした。前者は、直接かかわりのあるものやコントロール可能な要素に、後者は外的なものやコントロールが困難な要素に影響を受けるという認知過程を示した。
[キーワード]
誇り、帰属意識、動機づけ、認知過程、積極的責任関与行動
[要約・感想]
ちょっと紙面の都合か、情報不足が否めない論文・・・。
というか、中身が怪しい論文。
実際、どうなの??これ。
得られたデータからの考察が納得できない・・・。
とりあえず、論文の中身を整理してみる・・・。
1.誇り
経営学ではこれまであまり取り上げられてきていない。なので定義もはきりしない。
2.関連するであろう研究領域・・・誇りを「組織に対する誇り」と「職業や仕事に対する誇り」に分けるとすると、
○組織に対する誇り
→組織帰属・帰属意識(Loyality)、組織満足(Oragnizational Satisfaction)、組織関与(Organizational Commitment)
○職業や仕事に対する誇り
→キャリア形成(Career Development)、職業的アイデンティティ(Work Identity)、心理的契約(Psychological Contract)、仕事関与(Job Commitment)、自己効力研究(Self-efficacy)
3.研究の目的
「組織に対する誇り」と「帰属意識」との間の動機づけ機能の面からみた概念的違いを調べてみる。
4.この研究での誇りの定義
言葉でタラタラ書いてあるが、突き詰めて言えば、
「経営者の人柄」「経営者・役員の経営にたたる行動」「組織そのもの(理念、Visionなど)」「会社の内部体制(マネジメント、内部制度)」「仕事の内容(仕事の内容、方法、仕事のやりやすさ)」の5項目に対する「誇り」の強さ(100段階。ただし、60を最低合格ラインとするように教示)
実際にどんな文言でこれらに対する評定をさせているのかはわからない。ちょっと項目だけ見れば、経営者の人柄を誇りにできるんだろうか・・・??会社の内部体制に誇りを感じるか?と聞かれて、質問の意味がわかるだろうか??正直、こういう聞き方をされると、「誇りって何?」と思ってしまわないか??
5.とりあえずの結論
同じ「組織に対して誇りがある」と答える人の中には、
「自分の会社のことを本当に誇りに思っている人」
と、
「単に自分の会社に帰属意識を持っているだけの人」
とがいる。そlして、
今現在にの仕事に対する動機づけとの関係から、
前者は
「前者の場合には、組織に対しいて自ら積極的に関わり、責任を果たしていく姿が思い描けるが、後者の場合には、責任を組織ないしは経営層へ依存もしくは転換する傾向がある」
とのこと。
う〜ん、、、、、
まあ、誇りの概念のレビュー結果を多少なりとも最初の方で示してくれている点くらいは評価しようか・・・。
「誇り」の動機づけ機能と認知過程への影響—帰属意識と誇りの比較研究—
[著者]
平田 謙次, 八原 忠彦
[掲載]
経営行動科学学会第2回年次大会発表論文集, pp.128-135, 1999
[アブストラクト]
誇りを持ちながら仕事できることは、個人と組織の双方にとって重要なことである。帰属意識が薄らぐなかで、現代のビジネスパーソンがどの程度「誇り」を持ちえているのかについて、質問紙調査(n=705)を行った。統計解析により、誇りの持つ動機づけとしての機能をしめすとともに、「誇り」と「帰属意識」を分類することを通して、その動機づき認知過程への影響を明らかにした。前者は、直接かかわりのあるものやコントロール可能な要素に、後者は外的なものやコントロールが困難な要素に影響を受けるという認知過程を示した。
[キーワード]
誇り、帰属意識、動機づけ、認知過程、積極的責任関与行動
[要約・感想]
ちょっと紙面の都合か、情報不足が否めない論文・・・。
というか、中身が怪しい論文。
実際、どうなの??これ。
得られたデータからの考察が納得できない・・・。
とりあえず、論文の中身を整理してみる・・・。
1.誇り
経営学ではこれまであまり取り上げられてきていない。なので定義もはきりしない。
2.関連するであろう研究領域・・・誇りを「組織に対する誇り」と「職業や仕事に対する誇り」に分けるとすると、
○組織に対する誇り
→組織帰属・帰属意識(Loyality)、組織満足(Oragnizational Satisfaction)、組織関与(Organizational Commitment)
○職業や仕事に対する誇り
→キャリア形成(Career Development)、職業的アイデンティティ(Work Identity)、心理的契約(Psychological Contract)、仕事関与(Job Commitment)、自己効力研究(Self-efficacy)
3.研究の目的
「組織に対する誇り」と「帰属意識」との間の動機づけ機能の面からみた概念的違いを調べてみる。
4.この研究での誇りの定義
言葉でタラタラ書いてあるが、突き詰めて言えば、
「経営者の人柄」「経営者・役員の経営にたたる行動」「組織そのもの(理念、Visionなど)」「会社の内部体制(マネジメント、内部制度)」「仕事の内容(仕事の内容、方法、仕事のやりやすさ)」の5項目に対する「誇り」の強さ(100段階。ただし、60を最低合格ラインとするように教示)
実際にどんな文言でこれらに対する評定をさせているのかはわからない。ちょっと項目だけ見れば、経営者の人柄を誇りにできるんだろうか・・・??会社の内部体制に誇りを感じるか?と聞かれて、質問の意味がわかるだろうか??正直、こういう聞き方をされると、「誇りって何?」と思ってしまわないか??
5.とりあえずの結論
同じ「組織に対して誇りがある」と答える人の中には、
「自分の会社のことを本当に誇りに思っている人」
と、
「単に自分の会社に帰属意識を持っているだけの人」
とがいる。そlして、
今現在にの仕事に対する動機づけとの関係から、
前者は
「前者の場合には、組織に対しいて自ら積極的に関わり、責任を果たしていく姿が思い描けるが、後者の場合には、責任を組織ないしは経営層へ依存もしくは転換する傾向がある」
とのこと。
う〜ん、、、、、
まあ、誇りの概念のレビュー結果を多少なりとも最初の方で示してくれている点くらいは評価しようか・・・。
モチベーショナル・リーダーの条件
[タイトル]
モチベーショナル・リーダーの条件
[著者]
デイビッド C. マクレランド、デイビッド H. バーナム
[掲載]
DIAMOND ハーバードビジネスレビュー編集部監訳:新版 動機づける力 モチベーションの理論と実践, pp.175--210, 209
(日本語原典)Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2003年4月号
(英語原典)
David C. McClelland, David H. Burnham: "Power Is The Great Motivator", Harvard Business Review, July, 1970.
[アブストラクト]
優れたマネジャーの条件とは何か。
マネジャーの欲求パターンを分析することでこの根元的な問いへの答えを求めた。
その結果、組織全体の利益のためにその権力を行使したいという欲求を抱く「組織志向マネジャー」こそ
マネジメント効果が高いことが判明した。
このようなマネジャーは、部下に責任と権限を与え、組織目的を明確にし、チーム・スピリットを醸成する。
逆に、己の成功に走ったり、八方美人を振る舞ったりすると部下のコミットメントが損なわれてしまう。
(ハーバード・ビジネス・レビュー 2003年4月号より)
[キーワード]
動機傾向、権力動機、達成動機、親和動機、マネジメント・スタイル
[要約・感想]
一見すると達成動機が一番望ましく、権力動機は他者を支配し服従させることを欲することをいうような印象を持ってしまう。自分もそう。
でも、この本を読んでみて、ちょっと違うのではないか、ということがわかった。
達成動機は、あくまで上昇志向をもっているかどうか、まさに「成果を上げる」ということへの欲求をもっているかどうかということ。
一方で、権力動機は他者に影響を及ぼす、そのように振舞うことへの欲求。
マクレランドの調査方法を振り返ってみれば、これらが何を言っているのかよく分かる。逆に、調査方法を知らないままこれらの言葉面だけを受け取ってしまうと、大きな誤解を招く。
マクレランドの調査方法は、マクレランドの別の原著から整理すると・・・
マクレランドは、写真を見せて、その写真に好きなストーリを作るように被調査者に指示する。そうして出てきたストーリは、その本人がどのようなことを考える傾向性を持っているかを表す。達成に関するストーリを描いたのならば、その人は達成というものを志向した物事の考え方をする、ということ。他者に影響を与えることに関するストーリを描いたのならば、その人は権力というものについて考えやすい傾向を持っているということ。
なので、マクレランドのいう「動機」とは、その人の生き方・行動の仕方がどういう傾向・志向性をもっているか、ということである。
(おそらく、こういうことから原著の翻訳においては「動機傾向」という言葉が使われているのだろう)
さらには、本書の終りの方(207ページ)にも有るように、以下のような質問が成される。
・マネジャーが以前よりも成績や効率を向上させることについてどのくらいの頻度で考えているのか(達成動機)
・他者と友好的な関係を確立し、維持することについてどのくらい考えているのか(親和動機)
・他人を動かし、影響を与えることについてどの程度考えているのか(権力動機)
このことから、権力動機を持っていることと、「権力を振りかざして支配的・強権的にふるまう」ということとは別の話。権力動機がなければそういう振る舞いはでない、ということは言えるだろうが、権力動機を持っているからといって、そういう振る舞いが必ず起こるということではない。
むしろ、権力動機が低く、達成動機が高いひとは、自分自身の達成だけを志向する人、一匹狼的な人、ということになるだろうし、親和動機だけが高い人は仲が良いという点だけにしか着目しない人、ということなる。
権力動機が悪さをすることもあろうが、優れたマネジャーであるための必要条件として権力動機は求められる、ということである。
もちろん、本書では、権力動機が悪さをするパターンへの手当てとなる概念として「自己抑制」という概念も必要条件として加えている。
これが足りないと、権威主義的に走るが、これがあると、社会的に品のないことをしなくなる。社会に目を向け、その上で、人を動かせられるように振舞う。
モチベーショナル・リーダーの条件
[著者]
デイビッド C. マクレランド、デイビッド H. バーナム
[掲載]
DIAMOND ハーバードビジネスレビュー編集部監訳:新版 動機づける力 モチベーションの理論と実践, pp.175--210, 209
(日本語原典)Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2003年4月号
(英語原典)
David C. McClelland, David H. Burnham: "Power Is The Great Motivator", Harvard Business Review, July, 1970.
[アブストラクト]
優れたマネジャーの条件とは何か。
マネジャーの欲求パターンを分析することでこの根元的な問いへの答えを求めた。
その結果、組織全体の利益のためにその権力を行使したいという欲求を抱く「組織志向マネジャー」こそ
マネジメント効果が高いことが判明した。
このようなマネジャーは、部下に責任と権限を与え、組織目的を明確にし、チーム・スピリットを醸成する。
逆に、己の成功に走ったり、八方美人を振る舞ったりすると部下のコミットメントが損なわれてしまう。
(ハーバード・ビジネス・レビュー 2003年4月号より)
[キーワード]
動機傾向、権力動機、達成動機、親和動機、マネジメント・スタイル
[要約・感想]
一見すると達成動機が一番望ましく、権力動機は他者を支配し服従させることを欲することをいうような印象を持ってしまう。自分もそう。
でも、この本を読んでみて、ちょっと違うのではないか、ということがわかった。
達成動機は、あくまで上昇志向をもっているかどうか、まさに「成果を上げる」ということへの欲求をもっているかどうかということ。
一方で、権力動機は他者に影響を及ぼす、そのように振舞うことへの欲求。
マクレランドの調査方法を振り返ってみれば、これらが何を言っているのかよく分かる。逆に、調査方法を知らないままこれらの言葉面だけを受け取ってしまうと、大きな誤解を招く。
マクレランドの調査方法は、マクレランドの別の原著から整理すると・・・
マクレランドは、写真を見せて、その写真に好きなストーリを作るように被調査者に指示する。そうして出てきたストーリは、その本人がどのようなことを考える傾向性を持っているかを表す。達成に関するストーリを描いたのならば、その人は達成というものを志向した物事の考え方をする、ということ。他者に影響を与えることに関するストーリを描いたのならば、その人は権力というものについて考えやすい傾向を持っているということ。
なので、マクレランドのいう「動機」とは、その人の生き方・行動の仕方がどういう傾向・志向性をもっているか、ということである。
(おそらく、こういうことから原著の翻訳においては「動機傾向」という言葉が使われているのだろう)
さらには、本書の終りの方(207ページ)にも有るように、以下のような質問が成される。
・マネジャーが以前よりも成績や効率を向上させることについてどのくらいの頻度で考えているのか(達成動機)
・他者と友好的な関係を確立し、維持することについてどのくらい考えているのか(親和動機)
・他人を動かし、影響を与えることについてどの程度考えているのか(権力動機)
このことから、権力動機を持っていることと、「権力を振りかざして支配的・強権的にふるまう」ということとは別の話。権力動機がなければそういう振る舞いはでない、ということは言えるだろうが、権力動機を持っているからといって、そういう振る舞いが必ず起こるということではない。
むしろ、権力動機が低く、達成動機が高いひとは、自分自身の達成だけを志向する人、一匹狼的な人、ということになるだろうし、親和動機だけが高い人は仲が良いという点だけにしか着目しない人、ということなる。
権力動機が悪さをすることもあろうが、優れたマネジャーであるための必要条件として権力動機は求められる、ということである。
もちろん、本書では、権力動機が悪さをするパターンへの手当てとなる概念として「自己抑制」という概念も必要条件として加えている。
これが足りないと、権威主義的に走るが、これがあると、社会的に品のないことをしなくなる。社会に目を向け、その上で、人を動かせられるように振舞う。
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