[タイトル]
上司による効果的なほめ方・叱り方等に関する研究(I)—上司-部下間の関係性の観点からの実験的検討—
[著者]
山浦 一保、堀下 智子、金山 正樹
[掲載]
産業組織心理学会第24回大会発表論文集, pp.13-16, 2008.
[アブストラクト]
None
[キーワード]
ほめ 褒め 関係性 上司 部下
[要約・感想]
まとめると、、、
上司—部下の関係性がよい場合には、
(1)ポジティブなフィードバックを受けると、普段の関係性と一致しているので、部下は上司との安定的な相互作用を確証でき、結果として、部下は職務に集中しモチベーションが高まるだろう。
(2)なんらのフィードバックも受けないと、普段の関係性と一致しないので、部下は上司に対して疑念や仕事に対する方向性の曖昧さを感じ、結果としてモチベーションを低下させるだろう。場合によっては、自分の仕事のパフォーマンスに対する上司の関心や期待の低下を感じ、暗黙の叱責を受けた気分になるかもしれない。
一方、関係性が低い場合には、
(1)ポジティブなフィードバックを受けると、普段の関係と一致しないので、上司の対応が一貫していないと認知し、部下のモチベーションを向上させることはないだろう。場合によっては低下させることになるかもしれない。 (※ちょっと、ここでモチベーションが低下するプロセスは、もう少し理論的な結びつきが必要な気がする。なぜ、上司の対応が一貫していないと、モチベーションが下がるのか、の因果の関係のピースが足りてない気がする)
ということが考えられる。
そこで、このことが成り立っているかを確認するための実験を行った。
実験の結果、良好な関係を築いているからこそ、上司は部下の日ごろの努力や取り組みに即して評価しなければ、その部下の熱意や継続的な責任感を低減させること、暗黙のうちに叱責を受けた気分にさせてしまうことが認められた。また、褒め行動の効果を十分に発揮するためには、関係性が良好に保たれていることが必要条件であるといえる。
2011年5月13日金曜日
2011年5月12日木曜日
「働きがいを育てるCSRコミュニケーション」—CSRコミュニケーションが従業員の働きがい、および企業文化醸成にもたらす価値形成—
[タイトル]
「働きがいを育てるCSRコミュニケーション」—CSRコミュニケーションが従業員の働きがい、および企業文化醸成にもたらす価値形成—
[著者]
宮田 穣
[掲載]
相模女子大学紀要. A, 人文・社会系 70, 31-43, 2006
[アブストラクト]
This report clearly demonstrates through two surveys and two case studies that proactive efforts in CSRby a corporation leads to the activation of internal communication activities, revitalizes employee labor, and leads to the development of corporate culture which looks ahead to the future generations.
In paticular, the analysis focuses on how concepts of values of individual employees can be qualitatively changed by communication, and highlights the importance of a communication style that shares "narratives" in the organization along with development steps of sharing the information and concept of values in the oranizaion.
[キーワード]
CSR, Mental Health, Narrative, employee Communication, Corporate Culture
[要約・感想]
「CSRに関して、従業員同士てコミュニケーションを行うことによって、従業員の働きがいを向上させると共に、企業文化にCSRの内容を価値観として浸透させる」ということを論文の核として論じている。論文の流れとしては、現状の問題点を調査し、その結果分かった課題に対して「こうすればよいのではないか」ということを検討する、という流れ。
(1)要するに、CSRを果たすとは、環境レポートとか地域貢献といった部分だけを取り出すのではなく、「仕事の社会的価値」「そもそも何のために働いているのか」を十分に理解・浸透させることである。
(2)CSRの取り組み・浸透に関する調査の結果、現状では従業員の意識レベルは「自社の基本方針や姿勢が理解、共有化されているレベル」にとどまっており、「CSRと日常業務との関わり」への理解や共有、「CSRを意識した業務遂行」までは至っていない。また、CSRをテーマにした会議が多くなったり、問題がおきたときにCSRの視点からの検討もなされるようになっているが、まだ始まったばかりであり、人によって知識もレベルが違う、という現状が明らかになった。
(3)CSRのための議論をすることによって企業組織と外部社会との関係の認識と認識の再構築やコミュニケーションが促進されること、従業員自身の働き方や生き方への再考を促す契機となること、それを通じて「従業員の企業との関係の再構築、および自己発見」が起こるという効果が期待できる。ただ、その効果を起こすためには、上記の現状を改善していかなければならない。そこでは、「従来から続いてきた価値観とそれに基づく関係(従業員と企業)を引きずりつつ、新たな関係構築を内包しながら、いかに質的転換を図っていくか」が課題となる。
(4)本論で提起するのは以下のフェーズのどれにいるかを意識したうえで、それぞれを実現する上でのコミュニケーション(CSRコミュニケーション)の姿を具現化することである。
「従業員が自社のCSRの考え方や取り組み状況を情報として共有化する」フェーズ
↓
「それぞれの仕事とCSRとの具体的な繋がりを明確にし、それを理解し納得する」フェーズ
↓
「CSRをということを意識しなくても、働き方そのものにその企業が考えるCSRそのものがすでに内在している」フェーズ
具体的には第1フェーズでは、「情報の共有化」「従業員の認識の統一」のための「教養的コミュニケーション」が求められる。第2フェーズでは、従業員個々の仕事の関わりを踏まえながら、その場その場で納得いくまで価値観を議論しあう「教育的なコミュニケーション」が求められる。第3フェーズでは「お互いの仕事のありようをごく自然にやり取りする中で、お互いを認め合い、価値観を改めて確認しあう「理想的なコミュニケーション」が求められる。
(5)さらに加えて、ナラティブを活用したコミュニケーションが効果的と期待される。ナラティブによって共感、感情移入、想起、想像といったプロセスにより伝えたい内容が膨らみ、ときに伝え手の構想委譲の内容が高い納得とともに伝わることがある。
「働きがいを育てるCSRコミュニケーション」—CSRコミュニケーションが従業員の働きがい、および企業文化醸成にもたらす価値形成—
[著者]
宮田 穣
[掲載]
相模女子大学紀要. A, 人文・社会系 70, 31-43, 2006
[アブストラクト]
This report clearly demonstrates through two surveys and two case studies that proactive efforts in CSRby a corporation leads to the activation of internal communication activities, revitalizes employee labor, and leads to the development of corporate culture which looks ahead to the future generations.
In paticular, the analysis focuses on how concepts of values of individual employees can be qualitatively changed by communication, and highlights the importance of a communication style that shares "narratives" in the organization along with development steps of sharing the information and concept of values in the oranizaion.
[キーワード]
CSR, Mental Health, Narrative, employee Communication, Corporate Culture
[要約・感想]
「CSRに関して、従業員同士てコミュニケーションを行うことによって、従業員の働きがいを向上させると共に、企業文化にCSRの内容を価値観として浸透させる」ということを論文の核として論じている。論文の流れとしては、現状の問題点を調査し、その結果分かった課題に対して「こうすればよいのではないか」ということを検討する、という流れ。
(1)要するに、CSRを果たすとは、環境レポートとか地域貢献といった部分だけを取り出すのではなく、「仕事の社会的価値」「そもそも何のために働いているのか」を十分に理解・浸透させることである。
(2)CSRの取り組み・浸透に関する調査の結果、現状では従業員の意識レベルは「自社の基本方針や姿勢が理解、共有化されているレベル」にとどまっており、「CSRと日常業務との関わり」への理解や共有、「CSRを意識した業務遂行」までは至っていない。また、CSRをテーマにした会議が多くなったり、問題がおきたときにCSRの視点からの検討もなされるようになっているが、まだ始まったばかりであり、人によって知識もレベルが違う、という現状が明らかになった。
(3)CSRのための議論をすることによって企業組織と外部社会との関係の認識と認識の再構築やコミュニケーションが促進されること、従業員自身の働き方や生き方への再考を促す契機となること、それを通じて「従業員の企業との関係の再構築、および自己発見」が起こるという効果が期待できる。ただ、その効果を起こすためには、上記の現状を改善していかなければならない。そこでは、「従来から続いてきた価値観とそれに基づく関係(従業員と企業)を引きずりつつ、新たな関係構築を内包しながら、いかに質的転換を図っていくか」が課題となる。
(4)本論で提起するのは以下のフェーズのどれにいるかを意識したうえで、それぞれを実現する上でのコミュニケーション(CSRコミュニケーション)の姿を具現化することである。
「従業員が自社のCSRの考え方や取り組み状況を情報として共有化する」フェーズ
↓
「それぞれの仕事とCSRとの具体的な繋がりを明確にし、それを理解し納得する」フェーズ
↓
「CSRをということを意識しなくても、働き方そのものにその企業が考えるCSRそのものがすでに内在している」フェーズ
具体的には第1フェーズでは、「情報の共有化」「従業員の認識の統一」のための「教養的コミュニケーション」が求められる。第2フェーズでは、従業員個々の仕事の関わりを踏まえながら、その場その場で納得いくまで価値観を議論しあう「教育的なコミュニケーション」が求められる。第3フェーズでは「お互いの仕事のありようをごく自然にやり取りする中で、お互いを認め合い、価値観を改めて確認しあう「理想的なコミュニケーション」が求められる。
(5)さらに加えて、ナラティブを活用したコミュニケーションが効果的と期待される。ナラティブによって共感、感情移入、想起、想像といったプロセスにより伝えたい内容が膨らみ、ときに伝え手の構想委譲の内容が高い納得とともに伝わることがある。
介護と"看護"の視点からの「ケアの連携」に関する考察
[タイトル]
介護と"看護"の視点からの「ケアの連携」に関する考察
[著者]
榊原 和子
[掲載]
四条畷学園短期大学紀要, Vol.40, pp.19-29, 2007
[アブストラクト]
21世紀に入った日本は、少子・高齢化という2つの問題を同時に抱え、国民的課題として個々人が様々な負担を強いられている。我々の最大の関心事である健康についても、老後の生活や健康に直接的に関係している厚生年金や健康保険などの見直しが進み、平成12年に導入された介護保険も2005(平成17)年から見直され、2006年度(18年度)から実施されることになった。特記することとして、新予防給付及び新たなサービス体系の確立などが挙げられ、「医療と介護の連携」を強化した内容になっている。人間がこの世に生を受け健康を享受し、心身ともに豊かな生活をおくり死に至るまでのあいだに保健・医療及び福祉は欠くべからざるものであり、一人の人間の一生の過程で常に何らかの関わりを持っている。"ケア"という言葉を共有する"看護"と"介護"の立場で、それぞれが「健康的で尊厳ある生活」を質・量共に保障し、連携を深めながら役割と責任を果たす意義を確認する。また、2006(平成18)年7月に取りまとめられた厚生労働省社会援護局福祉基盤課による「これからの介護を支える人材について-新しい介護福祉士の養成と生涯を通じた能力開発に向けて-」検討委員会報告があり、介護福祉士をめぐる状況の変化や魅力と働きがいのある職場づくりについて今後の方向性と課題が提示されていることなどを含め、「医療と介護の連携」について考察する。
[キーワード]
健康, ケア, 尊厳ある生活, 看護と介護, 介護保険
[要約・感想]
介護職の現状を展望した論文。特に新しいものを報告した論文ではない。
論文の中で「介護職のコンピテンシー」が示されている。
また、プロフェッションについても触れられている。このあたりは参考となる。
「自分をみつめなおすゆとり」か・・・。
働きがいという言葉の捉え方という点では、「魅力と働きがいのある職場づくり」という言葉を用いている。さらに論文の中では、「高いといわれる離職率」といった言葉や、「関心・興味及びモチベーション」「やりがい」という言葉を出している。「やりがい」については、以下のような行がある。「「知」は普遍的な知の体系で、「知恵」は、正しく物事を認識し判断する能力、正しく判断する心の働きである。今の若者は活字離れや読解力不足などさまざまな言い方をされるが、時間をかける事によって知識が知恵になり、仕事に従事する過程で物事を成し遂げることのできる力、すなわち「能力」が身につき仕事に自信と誇りを持つことができ、やりがいに結びつくと考える。」この行から、まずは職務遂行能力を身につけることが必要であり、それが身につくことによって仕事における自身のパフォーマンスに対して「自信」と「誇り」を持てるようになり、それによって「やりがい」がもてるようになる、という流れを想定していると考えられる。加えて、「魅力と働きがいのある職場づくり」を英文アブストラクトでは" the improvement of work place to make it a more attractive profession"と記述している。"profession"は論文中では「(1)誰にでもできない職業であること(厳密な資格制度と養成制度)、(2)仕事をする上で、個人あるいは職業集団の大幅な自主性・自律性があること(仕事をする上で、あれこれ指揮命令を受けない)」と説明されている。このことから、「自主性・自律性」といった言葉も「働きがい」と関連したものとして捉えられていると考えられる。
介護と"看護"の視点からの「ケアの連携」に関する考察
[著者]
榊原 和子
[掲載]
四条畷学園短期大学紀要, Vol.40, pp.19-29, 2007
[アブストラクト]
21世紀に入った日本は、少子・高齢化という2つの問題を同時に抱え、国民的課題として個々人が様々な負担を強いられている。我々の最大の関心事である健康についても、老後の生活や健康に直接的に関係している厚生年金や健康保険などの見直しが進み、平成12年に導入された介護保険も2005(平成17)年から見直され、2006年度(18年度)から実施されることになった。特記することとして、新予防給付及び新たなサービス体系の確立などが挙げられ、「医療と介護の連携」を強化した内容になっている。人間がこの世に生を受け健康を享受し、心身ともに豊かな生活をおくり死に至るまでのあいだに保健・医療及び福祉は欠くべからざるものであり、一人の人間の一生の過程で常に何らかの関わりを持っている。"ケア"という言葉を共有する"看護"と"介護"の立場で、それぞれが「健康的で尊厳ある生活」を質・量共に保障し、連携を深めながら役割と責任を果たす意義を確認する。また、2006(平成18)年7月に取りまとめられた厚生労働省社会援護局福祉基盤課による「これからの介護を支える人材について-新しい介護福祉士の養成と生涯を通じた能力開発に向けて-」検討委員会報告があり、介護福祉士をめぐる状況の変化や魅力と働きがいのある職場づくりについて今後の方向性と課題が提示されていることなどを含め、「医療と介護の連携」について考察する。
[キーワード]
健康, ケア, 尊厳ある生活, 看護と介護, 介護保険
[要約・感想]
介護職の現状を展望した論文。特に新しいものを報告した論文ではない。
論文の中で「介護職のコンピテンシー」が示されている。
また、プロフェッションについても触れられている。このあたりは参考となる。
「自分をみつめなおすゆとり」か・・・。
働きがいという言葉の捉え方という点では、「魅力と働きがいのある職場づくり」という言葉を用いている。さらに論文の中では、「高いといわれる離職率」といった言葉や、「関心・興味及びモチベーション」「やりがい」という言葉を出している。「やりがい」については、以下のような行がある。「「知」は普遍的な知の体系で、「知恵」は、正しく物事を認識し判断する能力、正しく判断する心の働きである。今の若者は活字離れや読解力不足などさまざまな言い方をされるが、時間をかける事によって知識が知恵になり、仕事に従事する過程で物事を成し遂げることのできる力、すなわち「能力」が身につき仕事に自信と誇りを持つことができ、やりがいに結びつくと考える。」この行から、まずは職務遂行能力を身につけることが必要であり、それが身につくことによって仕事における自身のパフォーマンスに対して「自信」と「誇り」を持てるようになり、それによって「やりがい」がもてるようになる、という流れを想定していると考えられる。加えて、「魅力と働きがいのある職場づくり」を英文アブストラクトでは" the improvement of work place to make it a more attractive profession"と記述している。"profession"は論文中では「(1)誰にでもできない職業であること(厳密な資格制度と養成制度)、(2)仕事をする上で、個人あるいは職業集団の大幅な自主性・自律性があること(仕事をする上で、あれこれ指揮命令を受けない)」と説明されている。このことから、「自主性・自律性」といった言葉も「働きがい」と関連したものとして捉えられていると考えられる。
2011年5月11日水曜日
目標管理の効果的運用—管理機能としてのモチベーション—
[タイトル]
目標管理の効果的運用—管理機能としてのモチベーション—
[著者]
中村 悦子、瀬賀 裕子
[掲載]
新潟青陵大学紀要, Vol.7, pp.131-143, 2007.
[アブストラクト]
アメリカの経営学者、ドラッカーによる「目標と自己統制による管理」が1954年に提示され、日本への導入は1960年より始まった。医療機関における目標管理の導入は、多くは看護部門主導で進められ、専門職としての看護職員の自己実現を支援し、組織の目標を達成するという目的で行われた。導入の目的は、(1)職員の意識改革、(2)職場風土の活性化、(3)能力開発、(4)師長と武官のコミュニケーションの促進、(5)働きがいの向上などである。目標管理の導入の実態から、肯定的要因、否定的要因を明らかにすることができた。その結果、看護管理者が、管理機能として職員のモチベーションに関わることの重要性を確認することができた。
[キーワード]
目標管理、モチベーション、看護職員、管理機能、人事考課
[要約・感想]
看護職に対する目標管理における心理プロセス(目標管理によって達成感ややる気が高まる肯定的プロセス、やらされ感が高まる否定的プロセス)を、ヒアリング調査から描いている。モデルはなかなか面白い。
後の考察においては、まあ、一般論を書いている程度。研究というよりは解説・論説といったところか。
目標管理を成功させるための看護師長の役割の中であげている、看護師長に求められている点というのはなかなか興味深い。
(1)目標管理導入の目的を伝える
(2)組織の理念・方針を職員と共有する。
(3)面接技法を身につける
(4)職員に目標を意識させる
個人的には、「目標設定の技術」というのもあるように思う。
曖昧にしか目標をかけない、書こうとしないメンバ。
書類に起こすのを面倒くさがるメンバ。
書類に書き起こすのが苦手なメンバ。(語れるけど、書けない)
そういう部分が結構あるんじゃないだろうか・・・。
最後に、インセンティブに対しては従業員の信頼性と納得性という言葉がでている。
ようするに、適正に評価される仕組みがあるか(適性に評価されるんだ、という期待・信頼が持てるか)と、実際に評価されたと思えるか(納得)が人事考課上のポイントとなっているということだろう。
なお、「働きがい」という言葉で引っかかったのだが、実際には、中村ら自身は「働きがい」という言葉をそれほど大きく取り上げているわけではない。
目標管理の効果的運用—管理機能としてのモチベーション—
[著者]
中村 悦子、瀬賀 裕子
[掲載]
新潟青陵大学紀要, Vol.7, pp.131-143, 2007.
[アブストラクト]
アメリカの経営学者、ドラッカーによる「目標と自己統制による管理」が1954年に提示され、日本への導入は1960年より始まった。医療機関における目標管理の導入は、多くは看護部門主導で進められ、専門職としての看護職員の自己実現を支援し、組織の目標を達成するという目的で行われた。導入の目的は、(1)職員の意識改革、(2)職場風土の活性化、(3)能力開発、(4)師長と武官のコミュニケーションの促進、(5)働きがいの向上などである。目標管理の導入の実態から、肯定的要因、否定的要因を明らかにすることができた。その結果、看護管理者が、管理機能として職員のモチベーションに関わることの重要性を確認することができた。
[キーワード]
目標管理、モチベーション、看護職員、管理機能、人事考課
[要約・感想]
看護職に対する目標管理における心理プロセス(目標管理によって達成感ややる気が高まる肯定的プロセス、やらされ感が高まる否定的プロセス)を、ヒアリング調査から描いている。モデルはなかなか面白い。
後の考察においては、まあ、一般論を書いている程度。研究というよりは解説・論説といったところか。
目標管理を成功させるための看護師長の役割の中であげている、看護師長に求められている点というのはなかなか興味深い。
(1)目標管理導入の目的を伝える
(2)組織の理念・方針を職員と共有する。
(3)面接技法を身につける
(4)職員に目標を意識させる
個人的には、「目標設定の技術」というのもあるように思う。
曖昧にしか目標をかけない、書こうとしないメンバ。
書類に起こすのを面倒くさがるメンバ。
書類に書き起こすのが苦手なメンバ。(語れるけど、書けない)
そういう部分が結構あるんじゃないだろうか・・・。
最後に、インセンティブに対しては従業員の信頼性と納得性という言葉がでている。
ようするに、適正に評価される仕組みがあるか(適性に評価されるんだ、という期待・信頼が持てるか)と、実際に評価されたと思えるか(納得)が人事考課上のポイントとなっているということだろう。
なお、「働きがい」という言葉で引っかかったのだが、実際には、中村ら自身は「働きがい」という言葉をそれほど大きく取り上げているわけではない。
アメリカ型成果主義の導入とコンピテンシー—個と集団の調和—
[タイトル]
アメリカ型成果主義の導入とコンピテンシー—個と集団の調和—
[著者]
岡本 英嗣
[掲載]
目白大学経営学研究, Vol.7, 55-67, 2009
[アブストラクト]
日本の主要企業はアメリカ型成果主義の導入によって幾多の問題に直面しており、今なお試行錯誤が続けられている。その結果、多くの従業員は働きがいを喪失させている。そこで本稿は、企業で取り組まれている成果主義の現状と問題点を実装事例や調査事例等によって分析し、働きがいある職場環境をはぐくむためには、どのような雇用システムを採用すべきであるか、これについて考察するものである。
今までの研究成果(岡本c,2008)から「働きがい要因」を組織にかもし出すためには、伝統的な日本的経営よりも成果主義の方が優れていることを明らかにした。しかし企業の現場では第1に従来からの日本的経営とその後の新しく導入した成果主義との二重構造になっているのが現実である。第2に成果主義が導入されて以来、個人と集団の葛藤がみられ、これを如何に調和させていくかが大きな課題となる。同じく第3に成果主義を単なる仕事の「結果」ではなく、その従業員の組織での活躍の程度、プロセスでの役割、能力、資格などの客観的評価によって総合的に評価する方策が考えられる。
このように個人の成果を総合的に捉えて報酬を決めていこうとするのがコンピテンシーである。これを推進するためには社内外の教育訓練による自己啓発支援システムの設置が必要不可欠であると考えられある。
[キーワード]
働きがい、自己啓発支援システム、成果の総合評価、コンピテンシー、教育訓練
[要約・感想]
全体としては、根拠に乏しく、あくまで「説」を唱えているだけに見える論文。
ただ、内容そのものは示唆を与えてくれる。
特に賃金体系の歴史やコンピテンシーのまとめは参考になる。
研究の問題意識は
「成果主義は原則的にはよいのだが、今までの見える成果だけを評価したり、個人主義で仕事をしたりするのを助長してしまった。大切なのは「成果を出す能力」を評価することである、それはどのようなもので、それを伸ばすにはどのようにすればよいか」
ということ。その流れでコンピテンシーが紹介されている。
なお、「働きがい」という言葉に関して、この論文では、モチベーションを高めるものを「働きがい要因」という呼称をしている。具体的にその内容は、(1)業績を反映した賃金システムの存在、(2)その職場での良好な人間関係、(3)直属の管理者の思いやりのある態度、(4)責任ある仕事が与えられ、その成果に達成感がえられていること(5)個人の仕事の成果についての適正な業績評価と適正な報酬が実際にあたえられること、の5つを挙げている。なお、(1)と(5)は似ているが、(1)はそういうシステムが存在していること、すなわち(5)に対する期待がもてることを示しており、(5)は実際にそれら得られたことによって得られる満足感を指しているものと考えられる。
アメリカ型成果主義の導入とコンピテンシー—個と集団の調和—
[著者]
岡本 英嗣
[掲載]
目白大学経営学研究, Vol.7, 55-67, 2009
[アブストラクト]
日本の主要企業はアメリカ型成果主義の導入によって幾多の問題に直面しており、今なお試行錯誤が続けられている。その結果、多くの従業員は働きがいを喪失させている。そこで本稿は、企業で取り組まれている成果主義の現状と問題点を実装事例や調査事例等によって分析し、働きがいある職場環境をはぐくむためには、どのような雇用システムを採用すべきであるか、これについて考察するものである。
今までの研究成果(岡本c,2008)から「働きがい要因」を組織にかもし出すためには、伝統的な日本的経営よりも成果主義の方が優れていることを明らかにした。しかし企業の現場では第1に従来からの日本的経営とその後の新しく導入した成果主義との二重構造になっているのが現実である。第2に成果主義が導入されて以来、個人と集団の葛藤がみられ、これを如何に調和させていくかが大きな課題となる。同じく第3に成果主義を単なる仕事の「結果」ではなく、その従業員の組織での活躍の程度、プロセスでの役割、能力、資格などの客観的評価によって総合的に評価する方策が考えられる。
このように個人の成果を総合的に捉えて報酬を決めていこうとするのがコンピテンシーである。これを推進するためには社内外の教育訓練による自己啓発支援システムの設置が必要不可欠であると考えられある。
[キーワード]
働きがい、自己啓発支援システム、成果の総合評価、コンピテンシー、教育訓練
[要約・感想]
全体としては、根拠に乏しく、あくまで「説」を唱えているだけに見える論文。
ただ、内容そのものは示唆を与えてくれる。
特に賃金体系の歴史やコンピテンシーのまとめは参考になる。
研究の問題意識は
「成果主義は原則的にはよいのだが、今までの見える成果だけを評価したり、個人主義で仕事をしたりするのを助長してしまった。大切なのは「成果を出す能力」を評価することである、それはどのようなもので、それを伸ばすにはどのようにすればよいか」
ということ。その流れでコンピテンシーが紹介されている。
なお、「働きがい」という言葉に関して、この論文では、モチベーションを高めるものを「働きがい要因」という呼称をしている。具体的にその内容は、(1)業績を反映した賃金システムの存在、(2)その職場での良好な人間関係、(3)直属の管理者の思いやりのある態度、(4)責任ある仕事が与えられ、その成果に達成感がえられていること(5)個人の仕事の成果についての適正な業績評価と適正な報酬が実際にあたえられること、の5つを挙げている。なお、(1)と(5)は似ているが、(1)はそういうシステムが存在していること、すなわち(5)に対する期待がもてることを示しており、(5)は実際にそれら得られたことによって得られる満足感を指しているものと考えられる。
「やりがい」の制御変数:大学生を対象とした探索的実験
[タイトル]
「やりがい」の制御変数:大学生を対象とした探索的実験
[著者]
島宗 理、宇佐美 徳真
[掲載]
日本行動分析学会第28回年次大会発表論文集, p.76
[アブストラクト]
none
[キーワード]
none
[要約・感想]
「働きがい」という言葉が学術的にどういう文脈でどういう意味合いで用いられているかを調べる中で遭遇した論文。
「働きがい」とは何なのか、どのような状況で人は「働きがい」を感じるのか、ということについて実験的な研究を通して探究していく、という文脈を持った基礎研究。
「課題」、すなわち仕事に対応するものとして、相対的に「面白い」ゲームと相対的に「つまらない」ゲームを用意し、そこに「独立変数」として「共同作業」と「出来高制」という二つの変数を容易した。従属変数として「やりがい」「満足度」「面白さ」の5段評定を用いた。
結果として、(1)「やりがい」、「満足度」、「面白さ」の評定値が友人と一緒に取り組むという共同作業条件によって向上した。社会的刺激や社会的強化随伴性が「やりがい」に影響することを示唆している。(2)出来高制では、このような効果がみられなかった。
全体として、行動分析学の人の言葉でかなり戸惑うのだが、要するに、出来高制よりも社会的な要因の方が「やりがい」「面白さ」「満足度」に影響を与えている、という結論。
また、この論文では、「働きがい」を課題に対する「やりがい」「満足度」「面白さ」に類するものとして捉えているようだ。
「やりがい」の制御変数:大学生を対象とした探索的実験
[著者]
島宗 理、宇佐美 徳真
[掲載]
日本行動分析学会第28回年次大会発表論文集, p.76
[アブストラクト]
none
[キーワード]
none
[要約・感想]
「働きがい」という言葉が学術的にどういう文脈でどういう意味合いで用いられているかを調べる中で遭遇した論文。
「働きがい」とは何なのか、どのような状況で人は「働きがい」を感じるのか、ということについて実験的な研究を通して探究していく、という文脈を持った基礎研究。
「課題」、すなわち仕事に対応するものとして、相対的に「面白い」ゲームと相対的に「つまらない」ゲームを用意し、そこに「独立変数」として「共同作業」と「出来高制」という二つの変数を容易した。従属変数として「やりがい」「満足度」「面白さ」の5段評定を用いた。
結果として、(1)「やりがい」、「満足度」、「面白さ」の評定値が友人と一緒に取り組むという共同作業条件によって向上した。社会的刺激や社会的強化随伴性が「やりがい」に影響することを示唆している。(2)出来高制では、このような効果がみられなかった。
全体として、行動分析学の人の言葉でかなり戸惑うのだが、要するに、出来高制よりも社会的な要因の方が「やりがい」「面白さ」「満足度」に影響を与えている、という結論。
また、この論文では、「働きがい」を課題に対する「やりがい」「満足度」「面白さ」に類するものとして捉えているようだ。
2010年11月10日水曜日
自動車の運転支援システムが目指すべき姿について
が[タイトル]
自動車の運転支援システムが目指すべき姿について
[著者]
丸茂 喜高
[掲載]
電子情報通信学会技術報告SSS2009-10,pp.17-20,2009
[アブストラクト]
本稿では、自動車の運転支援システムはどのようにあるべきかについて議論する。従来の運転支援システムは、事故を未然に防ぐように直接的にドライバを支援しているが、リスクホメオスタシス理論によると、当初狙っていた効果を得ることは期待できない。そこで、運転を直接的に支援するよりも、ドライバの安全運転に対する動機付けを行なうような間接的な運転支援システムを提案する。さらに、安全運転の議論に加えて、燃費運転や交通流の改善に対する運転支援についても述べる。
[キーワード]
運転支援システム、リスクホメオスタシス理論、安全運転、動機付け、フロー理論
[要約・感想]
自動車の分野で安全運転を如何に引き出すかを論考した論文。
結構、自分と近いことを考えてられる。
同意できる点・感じた点としては、
・何らかのシステムを導入する場合には、支援システムを入れた場合の日常的プラクティスがどのようなものとなるのかの予測、あるいは、それの設計が必要。
・運転支援がモチベーションを下げることも考えられる点については、「自分のタスクと捉えるかどうか」「自分の存在意義を何処に見出すか」に掛かっているのではないか。ACCを入れることによって、前方注意は自分のタスクとは思わなくなるのかもしれない。そうなったときに、自分の存在意義をどう捉えるか。何となく、安全確認など周囲の環境への注意を注ぐモチベーションも下がる、というのはないように思う。ただ、行動レベルで見た場合に「運転に対する注意の向け方が変る(低下する)」「周囲に注意を向けるという行動が減る」ということは起るかもしれない。それは他に注意を向けることになったことの裏返しとして。しかし、行動が見られなくなったからといって、それは「積極的に注意を向ける意思が損なわれた」とは言えないように思う。つまりモチベーションが下がったとは言えない。おそらく「注意を向ける意思はあるし、それは変ってない」だろうから・・・。
自動車の運転支援システムが目指すべき姿について
[著者]
丸茂 喜高
[掲載]
電子情報通信学会技術報告SSS2009-10,pp.17-20,2009
[アブストラクト]
本稿では、自動車の運転支援システムはどのようにあるべきかについて議論する。従来の運転支援システムは、事故を未然に防ぐように直接的にドライバを支援しているが、リスクホメオスタシス理論によると、当初狙っていた効果を得ることは期待できない。そこで、運転を直接的に支援するよりも、ドライバの安全運転に対する動機付けを行なうような間接的な運転支援システムを提案する。さらに、安全運転の議論に加えて、燃費運転や交通流の改善に対する運転支援についても述べる。
[キーワード]
運転支援システム、リスクホメオスタシス理論、安全運転、動機付け、フロー理論
[要約・感想]
自動車の分野で安全運転を如何に引き出すかを論考した論文。
結構、自分と近いことを考えてられる。
同意できる点・感じた点としては、
・何らかのシステムを導入する場合には、支援システムを入れた場合の日常的プラクティスがどのようなものとなるのかの予測、あるいは、それの設計が必要。
・運転支援がモチベーションを下げることも考えられる点については、「自分のタスクと捉えるかどうか」「自分の存在意義を何処に見出すか」に掛かっているのではないか。ACCを入れることによって、前方注意は自分のタスクとは思わなくなるのかもしれない。そうなったときに、自分の存在意義をどう捉えるか。何となく、安全確認など周囲の環境への注意を注ぐモチベーションも下がる、というのはないように思う。ただ、行動レベルで見た場合に「運転に対する注意の向け方が変る(低下する)」「周囲に注意を向けるという行動が減る」ということは起るかもしれない。それは他に注意を向けることになったことの裏返しとして。しかし、行動が見られなくなったからといって、それは「積極的に注意を向ける意思が損なわれた」とは言えないように思う。つまりモチベーションが下がったとは言えない。おそらく「注意を向ける意思はあるし、それは変ってない」だろうから・・・。
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