2011年6月23日木曜日

派遣技術者の専門コミットメント,組織コミットメントおよび職務モチベーションの関係とその形成要因

[タイトル]
派遣技術者の専門コミットメント,組織コミットメントおよび職務モチベーションの関係とその形成要因

[著者]
浅井 千秋

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.43, No.2, pp.174--184, 2004

[アブストラクト]
本研究では,専門重要性と専門効力感が専門コミットメントを規定し,組織サポートと組織からの評価が組織コミットメントを規定し,職務複雑性と職場への適応が職務モチベーションを規定するという仮説が設定され,さらに,専門コミットメント,組織コミットメント,職務モチベーションの3つの態度間にも因果関係が設定された。そして,これらの仮説に基づいて構造モデルが構成された。派遣技術者133人に対する質問紙調査のデータを用いた共分散構造分析によって,このモデルの妥当性を検討した結果,専門コミットメントには,専門重要性と職務モチベーションからの正の影響が見られ,組織コミットメントには,組織サポート,組織からの評価,職務モチベーションからの正の影響が見られ,職務モチベーションには,職務複雑性,専門コミットメント,組織コミットメントからの正の影響が見られた。本研究の結果から,派遣技術者が有する専門志向の態度は,彼らの仕事に対する動機づけに強い影響を与えていることが示唆された。

[キーワード]
派遣技術者, 専門コミットメント, 組織コミットメント, 職務モチベーション, 共分散構造分析

[要約・感想]
共分散構造分析のやり方や考察の仕方、問題点をうまく整理していて、その点でも非常に参考になった論文。
最後の指摘もまさにそう!という内容。
「相関を用いて因果モデルを構成した。本モデルで設定された要因間に見出された因果係数の方向はあくまで理論的な過程に基づくものであり、各要因間の因果関係が実証されたといはいえない」

それぞれの言葉の定義について、
組織コミットメント・・・
 ・組織への情緒的アタッチメント、
 ・組織のために努力する医師、
 ・組織のメンバーシップを維持する欲求
 の3つの意味内容からなるもの

組織からの評価・・・
 職務における努力や業績に対して組織が与える肯定的な評価

組織サポート・・・
 能力開発やキャリア形成への支援が派遣元組織から行われている程度

専門コミットメント・・・
 ・専門分野に対する情緒的アタッチメント、
 ・優れた技術者になるために努力する意志、
 ・現在の専門分野に所属し続けようとする欲求
 の3つの意味内容からなるもの

専門効力感・・・
 専門分野の知識や経験、専門職としての能力に関する自己認知

専門重要性・・・
 専門分野に対する需要および組織における価値の高さ

職務モチベーション・・・
 ・職務への情緒的な関与の強さ
 ・優れた業績のために努力する意志
 ・職務と自己との適合感
 の3つの意味内容からなるもの

職務複雑性
 ・専門的な関心持てる職務内容
 ・職務への自己のアイデア
 ・新しい技術的課題を扱う機会
 の3つからなるもの

全体的な結論としては要するに、最後のほうにある、
「派遣社員に対する効果的な動機付け管理の方向性は、彼らの専門性を重視するものであり、それは、組織への貢献意欲を引き出すことと矛盾するのではなく両立できるものだと結論できる」という点。

ただ、ここでの組織コミットメントはあくまで「派遣元」を対象としている。
そもそも、そこに問題がある気がする。派遣元へのコミットメントを想定すること自体が肌感覚に遭わないな。。。

2011年6月22日水曜日

安全力向上に関わる人材育成手法の研究

[タイトル]
案全力向上に関わる人材育成手法の研究

[著者]
大石 照雄, 中原 淳, 山本 邦倫, 戸井 寿子, 静山 弘美, 遠藤 明久, 青沼 新一

[掲載]
JR EAST Technical Review, No.35-Spring, pp.22-25, 2011

[アブストラクト]
職場の安全力向上に関わる教育上の課題には、集合研修の教育内容を職場で実践・定着させることの難しさや、職場の安全活動や業務訓練などの「学びの場」において、教育効果が十分に得られていないといった課題がある。本研究は、企業内の人材育成の観点から、職場の安全活動を高める「教育手法」「定着化手法」として、集合研修における「効果的な内容構成のあり方」や、研修効果を高めるための「研修前・研修後の働きかけの工夫」に着目したものである。本稿では、上記の観点で研修モデルを設計・実施することにより教育効果を検証し、一定の知見が得られたので、その内容について報告する。

[キーワード]
安全、人材育成、研修、組織職場、学習、教育効果

[要約・感想]
4M4E分析手法を例に、この分析手法が職場内で定着し、水平展開されていくために必要な「研修内容・学習環境」の要件を整理したので、その要件を満たすことで本当に定着化・水平展開がなされるかを評価する、というもの。

定着化・水平展開のためには、「インストラクショナル・デザイン」「学習環境デザイン」の組み合わせが重要。
インストラクショナルデザインは、「分析」「設計」「開発」「実施」「評価」のプロセスを回す
学習環境デザインは、「学習者が職場や教室で活動に参加すること自体を「学習」と捉える」という考え方。

注目したい点としては、
半年近くの期間を使って研修を組んでいる点と、対話型の研修としている点、振り返りを行っている点。

実際には、モデルの評価という点はなされていない。
ただ、定着・水平展開する上でのおさえておくべき点は面白い。
・研修前に、今後、現場・職場を引っ張って言ってもらいたいメンバである受講生に対して、学習目標やゴールイメージをきっちり伝えて、これらを持ってもらうことが必要
・受講生が講習の場で立てたアクションプランを、職場に受け入れれてもらえるように研修前から下地を整えておく必要がある。そのために事前課題の設定を工夫する必要がある。

2011年6月21日火曜日

誇りと尊重が集団アイデンティティおよび協力行動に及ぼす影響—医療現場における検討—

[タイトル]
誇りと尊重が集団アイデンティティおよび協力行動に及ぼす影響—医療現場における検討—

[著者]
早瀬 良, 坂田 桐子, 高口 央

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.50, No.2, pp.135--147, 2011.

[アブストラクト]
医療機関では、安全で質の高い医療サービスの提供が求められている。そのためには、医療機関のスタッフが、職種の異なるスタッフと協力することや、自発的に役割外行動に従事することが不可欠である。本研究の目的は、社会的アイデンティティ理論に基づき、看護師が安全で質の高いサービスを提供する心理過程について検討することである。調査対象者は看護職者217名であった。分析の結果、以下のことが示された。(1)自分の職種に誇りを感じることと同僚から尊重されることの両方が職種アイデンティティを増加させ、職種アイデンティティは協力行動を増加させた。(2)また、同僚から尊重されていることは役割外協力行動を増加させた。(3)さらに、職種アイデンティティは職種間協力行動を増加させ、病院アイデンティティは病院への定着意志を増加させた。以上の結果から、安全で質の高いサービスを提供するためには、看護師が職種と病院の両方に同一視することが有益である可能性が示された。

[キーワード]
誇り、尊重、職種アイデンティティ、職種間協力

[要約・感想]
結構面白かった。
一般論として論じている点では、、、
(1)集団アイデンティティは「誇り」と「尊重」の2つによって強化されるとした
(2)「誇り」は「自分が所属する集団に対する外からの評価の認知の感情的反応である」としている。こうすると、「誇り」における評価対象は「所属集団」となる。一方、「尊重」の方は、あくまで自分が所属している集団の中での自分自身に対する評価の認知の感情的反応である」としている。すなわち、「尊重」の評価対象は「自分そのもの」となる。
(3)したがって、「誇り」を強く感じるということは、自身として所属集団を高く評価していることになり、所属集団の特徴を自分と結び付けようとする。したがって、所属集団の規範を遵守し、決められた役割に積極的に取り組む。
(4)一方、「尊重」を強く感じるということは、集団のメンバから自分自身の行動を高く評価されていることを認知することtなり、自分自身の独自性を表現するとともに、集団のために行動するように動機付けられるようになる。すなわち、職務要求に無い内容の行動も自発的に取るようになる。

この内容は非常に腑に落ちる内容。

前向きの信頼と後ろ向きの信頼

[タイトル]
前向きの信頼と後ろ向きの信頼

[著者]
中谷内 一也

[掲載]
JR EAST Technical Review No.35-SPRING, pp.1--4, 2011

[アブストラクト]
●●

[キーワード]
信頼 安心 安全 価値 

[要約・感想]
旅客に安心してもらうために必要なことを順次整理している。非常に分かりやすい。
まとめてみると、
(1)「客観的事実として安全である」と「安心できる」は違う。
(2)信頼できなければ安心はない。信頼できれば安心できる。
(3)信頼とは、「相手次第で自分がひどい目に遭うリスクがあるが、そのリスクを負ってでも相手に何かを委ねられる」こと
(4)信頼は非対称性原理が働く。「安全だからといって簡単に事業者への信頼が高まるわけではないのに、逆に、事故が続発して安全実績が損なわれると、信頼はたやすく崩壊する」
(5)信頼を規定する要因には、「相手の能力についての評価」と「相手の動機付けについての評価」の2つがある。どちらが掛けても安心はない。
(6)「相手の動機付けについての評価」はどういうときに高まるか?→2つある。
(7)自発的な監視の受け入れ。自ら積極的に情報の開示を行い、「どうぞ私を監視してください。そしてずさんな業務があればいくらでも制裁してください」という態度を示すこと。
(8)利用者の目線に立って考えること。事業者が自分たちと同じ見方で安全のことを考える、「事故があったら世間から叩かれて困るから」ではなく「利用者の健康や生命を害すること自体を嘆く気持ちを持っている」と利用者に受け止めてもらうこと。そのために「毎日接しているから利用者の気持ちなんて想像がつく」とタカを括らず、系統的に調査する。


利用者の安心←利用者の事業者への信頼←事業者の動機付けの評価

という大きな流れを描いている。
「お客様」という存在への気づき。お客様目線。
組織の中の誰かの仕事を奪うのを避ける、誰かの顔に泥を塗るのを避けるために、お客様に迷惑を掛けることはダメ。
あくまで「自分がなにのために仕事をしているのか」というドラッカーの問いかけへの答えに真摯であることが求められる。

ただ、自分の知り合い・仲間をどこまで切り捨てられるのか、というのは人の中で非常に大きな葛藤なんだろうなぁ・・・

2011年6月15日水曜日

ポジティブ感情と会話動機の関連―快楽的随伴性理論(the hedonic contingency theory)からの検討―

タイトル title
ポジティブ感情と会話動機の関連―快楽的随伴性理論(the hedonic contingency theory)からの検討―

著者 Author
藤原 健, 大坊 郁夫

abstract abst
本研究は、個人の感情状態と会話動機の関連について、ポジティブ感情と動機づけの関連を説明した快楽的随伴性理論を応用することで検討したものである。具体的には、他者(初対面・親友)と会話する際、初対面の他者では高覚醒ポジティブ感情で会話を始めることが自身のポジティブ感情の維持を予測させるため会話動機が高まると予測した。一方の親友では、他の感情出会っても会話がうまくいくと思うため、高覚醒ポジティブ感情以外でも会話動機が高まると予測した。本調査では、予備調査で抽出した4つの感情エピソードを用いて153名の大学生に対して場面想定法による質問し調査を実施した。その結果、初対面の他者との会話では高覚醒ポジティブ感情が最も良いと思われていること、および親友では低覚醒ポジティブ感情も良いと思われていることが明らかになった。しかし会話動機については、高覚醒ポジティブ感情のほうが低覚醒ポジティブ感情よりも有意に高かったが、初対面と親友との間に交互作用は見られなかった。これについて、感情状態と行動との時間的近接性の点から考察された。



引用元 Jounal Name, Vol. , No. , pp. Year
対人社会心理学研究, Vol.9, pp.73-79, 2009.

keyword Keyword
ポジティブ感情、覚醒 会話動機、快楽的随伴性理論、場面想定法

独自のkeyword Keyword
レジリエンス、ポジティブ感情とパフォーマンス

要約・感想 Report
快楽的随伴性理論なるものの存在を知れたという点で意味のあった論文。

この理論について、簡単に、この論文にあることをまとめると、
[命題]
ポジティブ感情が、典型的でない潜在的な関係性をはっきりと見抜くかという、創造的課題のパフォーマンスを高める、といった思考の柔軟性や創造性を促進する。


[前提]
人にはポジティブ感情を維持したい、という動機が存在している。


[プロセス]
創造的でいることが課題の成功につながると考えられ、それによるポジティブ感情の維持が予測されるとき、課題に対する動機づけが高まりポジティブ感情によるパフォーマンス向上効果が見られる。
逆に、ポジティブ感情の維持が予測されないときには、パフォーマンス向上効果は見られない。


なとなく、
・「課題遂行に対する積極性」(課題遂行に対する動機づけ)が思考の柔軟性・創造性をうむ。
・そのような動機づけは、外的刺激によってもたらされたポジティブ感情によって高まる。
ということなのか?もしそうだとしたらすごく面白いかも。

気分一致効果とかとも関連がありそう。

ちょっとよく調べてみようか・・・。

集団内における迷惑行為の生起及び認知—組織風土・集団アイデンティティによる検討—

[タイトル]
集団内における迷惑行為の生起及び認知—組織風土・集団アイデンティティによる検討—

[著者]
尾関 美喜, 吉田 俊和

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.47, No.1, pp.26-38, 2007

[アブストラクト]
本研究では大学生の部活動・サークル集団における迷惑行為の生起及び認知に組織風土と集団アイデンティティが及ぼす影響を検討した。組織風土を集団が管理されている程度である管理性と、集団内で自由に意見や態度を表明しやすい程度である開放性の2側面で構成した。組織風土と迷惑行為の生起頻度との関連を検討したところ、管理性が集団活動に影響を及ぼす迷惑行為の生起を、開放性が集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の生起を抑制することが示された。また、組織風土と集団アイデンティティが迷惑の認知に及ぼす影響を検討した。この結果、集団活動に影響を及ぼす迷惑行為については、管理性と開放性の両方が高い集団(HH型)の成員は管理性が高く開放性が低い集団(HL型)・管理性が低く開放性が高い集団(LH型)の成員よりも迷惑度を高く認知した。さらに集団アイデンティティの強い成員は集団アイデンティティの弱い成員よりも迷惑度を高く認知した。集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為については、組織風土、集団アイデンティティともに迷惑度認知に影響を及ぼさなかった。

[キーワード]
組織風土 集団アイデンティティ 集団内における迷惑行為, 人間関係

[要約・感想]
一つ前の論文のもとになっている論文。こっちがあって、一つ前の論文がある。

組織における「望ましくない行為」の生起や認知に関する論文。
組織風土を管理性と開放性に分けて捉えている点は興味深い。
また、それと集団的アイデンティティを独立変数として、
迷惑行為を説明しようと試みている点も興味深い。

なお、「管理性」というのは、集団が規範に基づいて管理の成されている程度。
「開放性」というのは、集団内で学年に関係なく自由に意見を表明しやすい程度。

とりあえず、結論を自分ありにもう少し噛み砕くと、、、
(1)集団の中で規範(ルール)がきちっと定まって、それに基づいてキチンと管理されている組織では、「集団活動に影響を及ぼすような迷惑行為」とここで定義している行為があまり起こらない。
(2)集団の中での人間関係が、そんなに上下関係が厳しくなく、フラットで気軽な空気のある組織では、「集団内の人間関係に影響を及ぼすような迷惑行為」とここで定義している行為はあまり起こらない。
→ 「管理性ばっかりが強く、開放性に乏しい組織においては、人間関係に影響を与える迷惑行為が多発し、人間関係に軋轢が生じやすい可能性がある。」とのこと。まさに層だと思う。

(4)集団に対する帰属意識の強い成員は、「集団活動に影響を及ぼす迷惑行為」とここで定義している行為の迷惑度を高く認知する。
(5)組織風土と、「集団活動に影響を及ぼす迷惑行為」とここで定義している行為の迷惑度認知は関係があり、管理性・開放性ともに強い組織と管理性は強いが開放性が弱い組織のメンバの迷惑度認知は管理性は弱いが開放性が強い組織の迷惑度認知よりも高い。
→ もともと管理性が弱いということは、そもそも「組織としての活動」というものへのコミットメントが弱い組織であると考えられる。このため、そのような組織では「集団活動に影響を及ぼす」という点について、そもそも迷惑度認知の基準が曖昧になっていると考えられる。(要するに、実践コミュニティではないということか・・・)

(6)「人間関係に影響を及ぼすような迷惑行為」とここで定義している行為の迷惑度の認知には、組織風土(管理性、開放性)や集団的アイデンティティは関係ない。
→ 何らかの「人間関係に影響するような迷惑行為」があったとき、それを迷惑と思うかどうかは、組織風土とは無関係である。迷惑と思う奴もいれば、それほど迷惑でないと思う奴もいる。また、どの人がどう思うかは、別に帰属意識とも関係ない。

結構、色々な組織にも当てはまりそうな知見。今回は、サークル活動を対象としているところが研究の知見の限界を定めていて、他の組織にこの知見をそのまま応用するのはちょっと危険。ただ、仮説を立てる上で意味はある知見と思われる。

ただ、、、因子分析で、これらの因子を出しているのだけど、累積寄与率が40%を切るっていうのは果たしていいのか?要するに、得られた回答のばらつきは、抽出した因子で捉えようとした場合、ノイズが60%は入っているっということ。いいんか?それで・・・。
分析方法として主因子法を使っているのが問題ではないか?最尤法とか最小二乗法とかだとどうだったんだろう・・・。

2011年6月10日金曜日

集団アイデンティティが集団内における迷惑の認知に及ぼす効果—成員性と誇りの機能的差異に着目して—

[タイトル]
集団アイデンティティが集団内における迷惑の認知に及ぼす効果—成員性と誇りの機能的差異に着目して—

[著者]
尾関 美喜, 吉田 俊和

[掲載]
実験社会心理学研究, Vol.49, No.1, pp.32-44, 2009

[アブストラクト]
本研究では、社会的アイデンティティ形成の相互作用モデルに基づいて、集団アイデンティティを個人レベルと集団レベルに分けてとらえるとともに、集団アイデンティティを成員性と誇りの二側面でとらえた。そして、成員性、誇り、成員性の集団内平均が集団内における迷惑更衣の迷惑度認知に及ぼす影響を検討した。HLMによる分析の結果は以下に示すとおりであった。1)規範などによって抑制可能である集団活動に影響を及ぼす迷惑行為については、成員性の強い成員ほど迷惑度を高く認知した。2)集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為については、成員性の集団内平均が高い集団では、誇りの個人差に起因する迷惑認知の差は見られなかった。3)成員性の集団内平均が低い集団では、誇りの高い成員ほど迷惑度を高く認知していた.


[キーワード]
迷惑行為, 集団アイデンティティ, HLM(階層型線形モデル)

[要約・感想]
・迷惑行為の認知と集団アイデンティティという概念との関係に着目した。
・集団アイデンティティとは、「自分はこの集団の一員だ」という個人の認知であり、その集団に所属することによって得られる社会的評価の認知的側面を含む
・個人レベルで集団アイデンティティが強い成員の行動や考え方は、所属集団の価値観に影響され、集団規範に従うとされる
・ただ、集団アイデンティティには、所属集団の一員としての意識の強さを示す「成員性」と、その集団に所属していることで得られる「誇り」の2側面がある。
・ここで「誇り」とは、その集団に所属することによって得られる社会的評価の認知的側面である。


本研究での仮説
1.成員性の強い成員は、集団活動に影響を及ぼす迷惑行為の迷惑度を高く認知する。
2a.成員性の集団内平均が高い集団では、相対的に誇りの低い成員の方が誇りの高い成員よりも人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の迷惑度を高く認知する。ただし、誇りの高低による迷惑度認知の差は、成員性の集団内平均が低い集団において見られる差よりも小さい。
2b.成員性の集団内平均が低い集団では、相対的に誇りの高い成員の方が誇りの低い成員よりも人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の迷惑度を高く評価する

結果としては、「仮説は支持された」とされている。ただ、それは本当か??2aに関しては、実際には、支持されてないんじゃないか・・・??。

具体的にはどんな行為が集団活動に対する迷惑行為で、どんな行為が人間関係に対する迷惑行為か、が分からないのでなんともいえないが・・・・、使えそうなけんきゅうかな、と思ったんだけど、実はそうでもなかったかな・・・