2010年11月10日水曜日

自動車の運転支援システムが目指すべき姿について

が[タイトル]
自動車の運転支援システムが目指すべき姿について

[著者]
丸茂 喜高

[掲載]
電子情報通信学会技術報告SSS2009-10,pp.17-20,2009

[アブストラクト]
本稿では、自動車の運転支援システムはどのようにあるべきかについて議論する。従来の運転支援システムは、事故を未然に防ぐように直接的にドライバを支援しているが、リスクホメオスタシス理論によると、当初狙っていた効果を得ることは期待できない。そこで、運転を直接的に支援するよりも、ドライバの安全運転に対する動機付けを行なうような間接的な運転支援システムを提案する。さらに、安全運転の議論に加えて、燃費運転や交通流の改善に対する運転支援についても述べる。

[キーワード]
運転支援システム、リスクホメオスタシス理論、安全運転、動機付け、フロー理論

[要約・感想]
自動車の分野で安全運転を如何に引き出すかを論考した論文。
結構、自分と近いことを考えてられる。

同意できる点・感じた点としては、
・何らかのシステムを導入する場合には、支援システムを入れた場合の日常的プラクティスがどのようなものとなるのかの予測、あるいは、それの設計が必要。

・運転支援がモチベーションを下げることも考えられる点については、「自分のタスクと捉えるかどうか」「自分の存在意義を何処に見出すか」に掛かっているのではないか。ACCを入れることによって、前方注意は自分のタスクとは思わなくなるのかもしれない。そうなったときに、自分の存在意義をどう捉えるか。何となく、安全確認など周囲の環境への注意を注ぐモチベーションも下がる、というのはないように思う。ただ、行動レベルで見た場合に「運転に対する注意の向け方が変る(低下する)」「周囲に注意を向けるという行動が減る」ということは起るかもしれない。それは他に注意を向けることになったことの裏返しとして。しかし、行動が見られなくなったからといって、それは「積極的に注意を向ける意思が損なわれた」とは言えないように思う。つまりモチベーションが下がったとは言えない。おそらく「注意を向ける意思はあるし、それは変ってない」だろうから・・・。